衛星工房では，みんな，実際に宇宙で動作するものを開発して，宇宙に打ち上げて運用することを目指して活動していますが，いきなり，本物の衛星や宇宙機器を開発するのは容易なことではありません．これは，単に知識が不十分だからということではなく，考え方やチーム内での連携，スケジュールの守り方など，プロジェクト（＝決められた期間の中で目標を達成する活動）の進め方を体得していない場合が多いからです．

また，衛星工房は，「自分達がやりたいと思うことをやる」ということを基本としていますが，衛星開発や宇宙科学に対して十分な知識がない場合，具体的に何をすればいいのかがわからない場合も多いかと思います．

そこで，衛星工房では，これまで，衛星開発に向けたステップとして，いくつかのトレーニングプログラムを試みてきました．その主なものは以下の通りです．そして，2015年度以降，衛星工房は山�ｱ助教が運営しています．

CanSat（ARLISS） 350mlジュース缶サイズ，および，その3倍のサイズの模擬人工衛星．2009年度までは，研究室に配属された4年生はる4月からCanSatを開発し，8月，あるいは9月に米国・ネバダ州のBlack Rock砂漠で開催されるモデルロケット打ち上げイベントARLISS（A Rocket Launch for International Student Satellte）で高度4km程度まで打ち上げ， ロケットから放出後，パラシュートで落下中に実験を行うのが，我々の研究室の恒例行事でした．ARLISSへの参加は，衛星開発の基礎技術やプロジェクト・マネージメントを実践的に学ぶ非常にいい機会です． 衛星設計コンテスト 毎年11月に最終審査会が行われる，50kg級衛星のミッションや設計を競うコンテスト．我々の研究室では，過去は，修士1年のチームが主に参加していました．2006年度には4年生チームが設計大賞を受賞しています．最近では，衛星開発の準備として，低学年チームが参加しています．衛星設計コンテストは宇宙機工学を勉強する大変いい機会です． 新入生プログラム 衛星開発に興味をもって衛星工房に入ってくる新入生が，我々の研究室での衛星開発にスムーズに携われるようになるよう，衛星開発に必要な基礎技術・知識を身に付けるトレーニングコース．2010年当時の大学院生が主として開発し，その後，状況に合わせて修正・試行錯誤を続けています．当時は，4月にスタートし，超小型衛星に関する基礎知識の講習会，計測機器や工作機械の使い方等の講習会，PICマイコンを用いた基板製作・プログラミング実習を経て，11月または12月に気球を用いたCanSatの動作実験を行うコースでしたが，最近ではHeptaを用いたトレーニングコースや衛星設計コンテスト出場のための勉強会など，徐々に形を変えてきています．