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大型ゴッサマー多体宇宙構造物の運動予測法の確立と運動の理解

【2018年3月更新】

この研究は，文科省・科研費の基盤研究(B)の支援を得て，2015年度から2017年度の3年間，実施しました．

研究進捗状況

研究進捗状況は以下の通りでした．

March 1, 2018 Proceedings of the IEEEに，招待論文「Deployable Techniques for Small Satellites」（著者：Yasuyuki Miyazaki）が掲載されました．
January 30, 2018 Mechanical Engineering Letters に投稿した論文「Modified method of detecting dynamic buckling」（著者：Shoko Arita, Yasuyuki Miyazaki）が公開されました．
January 8-12, 2018 SciTech Forumがオーランドで開催され，福永が"Structural Characteristics of The Self-extensible boom"を，鈴木智大が"Similarity Rule of Deployment Behavior for Spin Deployment Membrane"をそれぞれ発表しました．
December 4, 2017 ローマ大学でDebris Mitigation Competitionが開催され，高坂・河原林・福永のチームが「Membrane Deplyment De-orbit Device Composed of Self-Deployable TrussStructure」にて1位を獲得しました．
November 17, 2017 30m級自己展開トラス構造の展開実験を実施しました．（展開動画はhttps://youtu.be/XinWA9eavJM）
November 15, 2017 2m級自己展開3次元トラス構造の展開実験を実施しました．（展開動画はhttps://youtu.be/ANl2IXZ80hs）
October 30, 2017 20m級自己展開トラス構造の展開実験を実施しました．（展開動画はhttps://youtu.be/apV0g6r6jTI）
October 26, 2017 第61回宇宙科学連合講演会が新潟の朱鷺メッセで開催され，M1の福永が「自己展開トラスの展開性向上」を学生ポスターセッションで発表．福永が優秀発表賞を受賞．
April 18, 2017 自己展開膜面トラス構造の展開実験を実施しました．（展開動画はhttps://youtu.be/42C8XcUh-dM）
January 9-13, 2017 SciTechで多田が"Membrane Deployment de-orbit System by convex tapes"を，立松が"Verification of the Similarity Rules for Spin Deployment Membrane in the ground experiment "を，田村が"Deployment Dynamics of Selfdeployable Truss Structure Consisting of Bi-convex Booms"を発表しました．
October 17-23, 2016 ブルガリアのバルナでDeorbit Device Ceompetitionが開催され，M2・多田が"Membrane Deployment De-orbit System by Convex Tapes"を発表し，優勝しました．
August 8-10, 2016 国際会議ACMD2016が8月8日～10日の3日間，金沢にて開催され，M2の田村が "Report on Microgravity Experiments of Self-Deployable Truss Structure Consisting of BCON Booms"を，M2の立松が"Similarity Rules for Spin Deployment Membrane"を発表しました．また，前者の論文に対し，田村・井上・兵藤・宮崎が論文賞を受賞しました．
August 9, 2016 自己展開トラス構造の展開実験を実施しました．（展開動画はhttps://www.youtube.com/watch?v=sH7NHZwPzMM）
March 31, 2016Mechanical Engineering Letters に投稿した論文「A study of dynamic evaluation of structural buckling」（著者：Shoko Arita, Yasuyuki Miyazaki）が公開されました．
February 4-5, 2016 航空機を用いた微小重力下での展開実験を実施しました．
December 15, 2015Mechanical Engineering Journal に投稿した論文「Analytical solution of the bending of a bi-convex boom」（著者：Yasuyuki Miyazaki, Shota Inoue, Akihiro Tamura）が公開されました．
July, 2015HPCシステムズ社製の並列計算機を導入しました．
研究計画内容

この研究は，過去の科研費研究で達成したものを土台にして，大型膜面やケーブルなどのゴッサマー構造と伸展ブームや宇宙機本体などの支持構造から成る大型ゴッサマー多体宇宙構造物の高速・高精度の運動解析理論の構築と，展開などの運動の予測法の確立，それによる運動の本質の理解を目的としています．具体的には，以下の3つを目指しています．

  1. IKAROS2（仮称）クラスの大型ゴッサマー多体構造物（20万自由度程度）で時間ステップが1000万程度の運動を2週間程度で解析できる大規模並列解析コードNEDA3.0の完成と，IKAROS2を例題とした大型膜面の安定なスピン展開・形状維持条件（例えば，適切な初期スピンレート値やアクチュエータでキャンセルすべき，太陽輻射による外乱トルク値等）を明らかにすること．
  2. 膜面のスピン展開と膜面トラスの自己展開を例に，大型ゴッサマー構造物の小規模モデルの定盤上展開実験法・大型真空層実験法・微小重力実験法を明らかにし，小規模地上実験結果から軌道上での大型ゴッサマー構造物の運動を予測する相似則を構築する．そして，数値計算結果，ならびに，IKAROSのフライトデータと比較することで，相似則の妥当性を示すこと．
  3. 以上を元に，小規模地上実験と数値計算を用いた大型ゴッサマー構造物の軌道上運動予測法を構築すること．ならびに，これに，モデル低次元化法と低次元化誤差評価法を適用し，設計パラメータが運動全体に及ぼす影響をより高速に計算・評価する方法を示すこと．そして，膜面のスピン展開と膜面トラスの自己展開を例に，大型ゴッサマー構造物の運動の特徴・本質を明らかにすること．

IKAROS2（仮称）とは，JAXAのソーラー電力セイルWGが検討中の，木星トロヤ群を探査することをメインミッションとした探査機で，一辺が約50m弱四方の膜面を展開し，膜面のほぼ全面に貼り付けた薄膜太陽電池で発電し，イオンエンジンで推進し，木星を経由して木星トロヤ群を探査するものです．IKAROSが約14m四方の膜だったことを考えると，面積は優に10倍以上となります．探査機本体は大型膜面にちょこんと取り付けられているといいう感じでしょうか．まさに，「大型ゴッサマー多体宇宙構造物」です．ちなみに，宇宙研のサイト

にもある通り，次の中型セイル（セイルを展開すると大型になりますが，打ち上げ時の大きさや探査機全体の質量が中型なので，中型セイルと呼ばれています）では，セイルは太陽光圧推進用というよりは，イオンエンジン等に供給する大電力を確保するための太陽電池アレイの役割を担っています．なお，上記の1番の「2週間程度」というのは，計算機の性能に左右されますので，あまり意味のある数字ではないですが，とりあえず，科研費で購入する計算機でこの程度までいければ，と考えています．

また，上記の2番の「展開トラスの自己展開」というのは，2014年度まで行っていた科研費研究「超軽量高剛性コンベックスブームによる大型宇宙構造物の実現」で研究した，バイコンベックスブームを用いた自己展開トラスのことです．これに膜を張ると，膜と柔軟なブームと剛体であるノードから成る，典型的なゴッサマー多体構造物となります．こういったトラス構造に膜面を取り付けて張る際の取り付け方・張り方も，興味のあるところです（膜面の折り目の影響をどう最小化するのか，どうやってしわの起きにくい張り方をするのか，など）．

[reference]

奥泉信克，白澤洋次，森治，佐藤泰貴，松永三郎，名取通弘，古谷寛，坂本啓，山浦弘，宮崎康行，井上遼太，菊池隼仁，水森主，北尾啓，佐藤剛志，西澤匡士，横松卓，倉重宏康，木星トロヤ群探査に向けた大型ソーラー電力セイル膜面展開構造・機構に関する検討，宇宙科学シンポジウム，P-260，2015年1月6日～7日, 宇宙科学研究所, 2015.

丸木悠暉,宮崎康行,嶋崎信吾,村田亮, 地上実験結果を用いた柔軟宇宙構造物の軌道上挙動推定法, 2014 年度日本機械学会年次大会講演論文集, S1920203, p.1-5, 2014年9月7日～9月10日, 東京電機大学, 2014.

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宮崎康行, 「BCONブームの曲げ理論」, 第56回構造強度に関する講演会講演集, 1A18(JSASS-2014-3019), pp.48-50, 平成26年8月6日～8月9日, 浜北文化センター, 2014.

村田亮, 井上翔太, 宮崎康行, 「宇宙構造物の伸展部材用コンベックステープの展開挙動」, 第56回構造強度に関する講演会講演集, 1A17(JSASS-2014-3018), pp.45-47, 平成26年8月6日～8月9日, 浜北文化センター, 2014.

嶋崎信吾, 村田亮, 丸木悠暉,「パラボリックフイトによる微小重力環境を利用した柔軟宇宙構造物の軌道上挙動推定法」, Int. J. Microgravity Sci. Appl. Vol. 31 No. 3, pp.142-149, 2014.

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