2013/10/10
世界初、音響シミュレーション技術による射点の最適設計
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、先の新型ロケット、イプシロンロケット打上げに使用された射点設計にJAXAスーパーコンピュータシステム(JSS※)を利用した音響シミュレーション技術を世界で初めて適用し、ロケットエンジンの排気ジェットから発生する射点音響レベルを前のM-Vロケットの10分の1以下、世界最静粛レベルに低減することに成功した。これは、打上時の射点音響計測データの評価結果より、設計の妥当性が実証されたことからも音響シミュレーション技術の実用性が確認された。音響シミュレーション技術による設計により、射点(射座・煙道)整備は従来手法(1970年代にNASAによって開発された半経験則をベースとした手法)による設計と比較して、10分の1以下のコストで実現した。
ロケットの排気ジェットが発生するリフトオフ時の音響振動は、人工衛星等ロケットに搭載するペイロードに影響を与えることから、煙道(ロケットエンジンの排気ジェットをロケットから離れた所に排出する)や散水(煙道や射座に水を散水し、音響振動エネルギーを吸収する。)等の対策がとられるが、イプシロンロケットでは大規模な地下煙道や散水設備を用いることなく音響レベルの低減化を実現することができた。
※JSS:2009年4月に整備され、約140TFlops(テラフロップス)の演算能力を有するスーパーコンピュータ