宇宙用電子機器設計支援システムELEGANT
宇宙ステーションや人工衛星、ロケットなどの宇宙機に搭載される電子機器には、コンデンサや抵抗などから構成されるアナログ部と、FPGAやASICに代表されるハードウェア(HW)とCPUなどで実行されるソフトウェア(SW)から構成されるデジタル部があります。
デジタル部のHWとSWの設計は、従来、別々の設計環境、担当者で実施されていました。そのため、実現したい処理のHWとSWの役割分担が最適でなかったり、HWの設計が終わらないとSWの試験ができないため、SW側で待ち時間が発生してしまったり、HWとSWの組合せ試験では、HWの故障を恐れて、SW の試験が十分にできないなどの問題がありました。
そこで、それらの問題を解決することで、開発期間の短縮と信頼性向上に貢献しようと、当チームでは、「 宇宙用電子機器設計支援システム ELEGANT(Electronic Design Guidance Tool for space use)」を開発しました。 ELEGANTを使うと、デジタル部のHWとSWの設計を同一の設計環境、担当者で実施することができます。
ELEGANTは、デジタル部で実現したい処理を段階的に詳細化し、HWとSWに役割を配分していきます。また、各段階で様々なシミュレーションを行うことができるため、ELEGANT上で試行錯誤を繰り返してHWとSWの役割分担を最適化したり、ELEGANT上の仮想HWを使うことで、実際のHWでは故障を引き起こすかもしれない厳しいSW試験なども実施することができます。
ELEGANTは、平成19年度に開発を完了し、すでに、人工衛星の通信機器の開発に利用されています。また、ELEGANTは宇宙用電子機器設計のために開発されましたが、車載用電子機器、デジタル家電等の民生分野の設計においても利用可能であるため、現在、民生分野に対しても積極的に利用促進を図っています。
【FPGA】Field Programmable Gate Array
【ASIC】Application Specific Integrated Circuit