Space Structure Laboratory

宇宙構造物の構造と機構に関する
統括的研究

 宇宙構造物の構造と機構について,宇宙構造物システムという観点から総合的な研究を行っている. 適応構造物のような構造概念の研究から,個々の構造要素研究や計測法までを含めて, 従来から提案されている宇宙システムの分類や,それらの特徴的性質の把握を試みている. それらの成果はスペースVLBI用展開アンテナ,科学観測のための伸展マストやインフレータブル伸展構造物などの 開発に生かされ,さらにSSPSなどの大型宇宙構造物建造への応用などが試みられている.

柔軟構造要素による大型宇宙構造物の建造とダイナミクスに関する研究

 膜やテザーあるいは適応構造要素による大型アンテナや太陽発電衛星などの大型宇宙構造物, および月・惑星上構造物の概念および建造方法の研究をしている. 膜面を利用した柔軟構造物のダイナミクスとその制御や,形状記憶合金をスマートアクチュエータに 利用した宇宙構造物の自動建造可能性,インフレータブル構造物の形状精度,膜面挙動の実験と数値計算法, 張力安定トラスの宇宙構造物への利用,モジュールの自律分散制御を用いた宇宙構造物の自動建造の検討なども 取り扱っている.

軽量宇宙構造の機械特性及び展開機構
に関する研究

 大型の太陽電池パドルなどに要求される軽量高剛性といった特性を有する 宇宙構造物の研究を実施している. 軽量なコア材としてマルチセルインフレータブル構造を利用し,その構造様式から検討を行い, 解析および試験によって,機械特性の評価・改良を実施している.さらには,インフレータブル構造として展開可能なサンドイッチパネルやSSPSなどの大型宇宙構造物への 応用を視野に入れて,軌道上でのロバスト性や形状の制御に関する検討も行っている.

柔軟展開構造物の展開挙動と形状解析
に関する研究

 スピン展開型大型柔軟アンテナやソーラーセイルなどの膜面構造物の宇宙構造システムについて,それらの概念や機構運動,構造精度,ダイナミクス,膜面のしわ解析手法などを多角的に取り扱い,これらに有効な数値解析手法の研究を行っている.今年度は,折り畳みによって膜にしわが生じないように折り目を設計した螺旋折り(擬似対数螺旋折り)によって収納された膜面の遠心力展開挙動を検討した.特に,膜面外周におもりを付加した場合や中心ハブが空転する場合について,真空層展開実験と多粒子系モデルによる数値シミュレーション結果を比較し,数値解析の精度向上を図った.また,遠心力展開された円形膜面が重力や太陽輻射圧などの面外分布荷重を受けたときの面外振動モードを理論解析と数値解析によって明らかにした.

次期磁気圏探査衛星SCOPEのスピン軸方向
伸展アンテナの構造と機構の研究

 スピン軸方向伸展物の構造開発に,伸展長さ,質量,衛星スピンレートに関連した剛性要求,探査機慣性能率比,伸展動作中に衛星姿勢に及ぼす影響,搭載容積(収納時の寸法)などを勘案しながら構造および伸展機構の開発と研究を進めている. 特に,SCOPEの場合は,剛性向上に直結する必要重量の配分も厳しいにも関わらず,本アンテナが電場観測用センサであるために観測要求から来る多くの制約条件が課されている. これらの要求を満足させるものとして,複合材STEMのインフレータブル伸展方式によるアンテナ構造様式について検討を進めている.さらに,開断面梁のスピン伸展における動的不安定現象の解析手法の開発を行っている.本構造様式の開発は,広く衛星搭載用またはロケット搭載用の伸展構造物として, また月惑星上の伸展構造物にも利用できることを目指している.

モジュール展開構造物に関する研究

 宇宙空間で大型構造物を構築するために設計製造された大型柔軟構造物を地上で事前機能実証試験を行う際,重力の影響や空気の影響を取り払うことはできず,また試験設備の大きさの制約もあるため,構造物の大型化とともに十分な試験を実施することが不可能になってくる.大型構造物をモジュール化し,モジュール毎に試験を実施することで試験が容易となり, コストダウンとともに構造精度や信頼性も向上する. モジュール展開構造物の考え方はASTRO-G搭載の大型展開アンテナに適用されている.ASTRO-G搭載の大型展開アンテナではさらに,鏡面精度向上のために新たに開発された構造様式であるラジアルリブ/フープケーブル方式を採用している.