石村 康生 (准教授)
<連絡先>
〒252-5210
神奈川県相模原市由野台3−1−1
E-mail: ishimura (a) isas.jaxa.jp 
(不評の写真は現在から-8年,-5kg)
■ 現在の仕事
・科学衛星・探査機・宇宙構造物の構造と機構の開発
 -高精度大型宇宙構造物の開発研究
 -ASTRO-H X線天文衛星の構造開発
 -宇宙インフレータブル構造技術の開発
 -宇宙太陽発電システム(SSPS)の構造様式の検討
■ 研究一覧
システムの特性を融合させることで,生み出される新たな構造システムの様式に興味をもち, 構造物における “離散と連続の融合”,“能動と受動の融合” の着眼点から以下の研究に従事.
  ・ 大型宇宙構造物の軌道上形状制御
       ← 構造と制御の融合
  ・ マルチセルインフレータブル構造
       ← インフレータブル構造の離散化
  ・ 太陽発電衛星の動特性評価
       ← 大規模システムの分散化
  ・ 宇宙インフレータブル構造物の概念と宇宙実証
■ これまでの研究(2001〜2007 北海道大学所属時)
   ・ 超小型衛星のシステム開発
      ← 将来的にはフォーメーションフライトへ
   ・ 分岐現象によるロボットの運動遷移
      ← 安定点と不安定点の設計
   ・ 受動歩行ロボット
      ← 歩行における受動性の探求
   ・ ハイパースペクトルデータの高速高精度クラスタリング
      ← 連続情報の離散化
    より詳細については, 業績
■ 独りよがりな研究動機
システムと言う言葉を辞書で引くと,“個々の要素が有機的に組み合わされた,まとまりをもつ全体” とある.この言葉からもわかるように,システムを考えるときには,要素全体の2つを扱う必要がある.システムを前者の視点から見ることはボトムアップと呼ばれ,後者の視点から見ることはトップダウンと呼ば・黷驕Dシステムの設計・解析においては,この相反する2つの視点をうまく織り交ぜて用いることが重要である.
 
 例えば,非常に高価で高性能な部品としてを並べても,良いシステムが作れるとは限らない.マウンテンバイクの高級フレームにロードレーサーの車輪を取り付けるような事をしていては,自転車システムとして優れたものには成り得ない.個々の要素を全体の目的に応じて選び,うまく組み合わせることが肝要である.一方で,個々の要素の組み合わせに よって,想定されていなかった全体としての秩序が創発されるというケースもある.例えば,個々の蜂は全体の形状を意識することなしに,見事な蜂巣を形成す る. このように,トップダウン又はボトムアップのどちらかの視点がシステムを特徴づけることもあるが,ほとんどのシステムにおいては双方が混在してい る.そして,よくできたシステムは,システムの機能に応じて,双方が融合され,調和がとれたものとなっている.
 
 ところが,このボトムアップトップダウンという視点のそれぞれについての議論は多々あるものの,これらの融合・調和についての方法論は未だ体系づけされておらず,個別の対象や非常に理想化されたシステムに対するものがあるのみである. そこで私は,このような対立するシステム特性の融合による新たなシステム構築を目的として研究している.最終的には,これらの融合システムの設計論を展開していく.特に,現在は注目しているものは,

受動・能動,分散・集中,離散・連続

といったシステムの特性である.
 例えば,太陽発電衛星などに 代表される大規模宇宙システムは,建造・メンテナンス・冗長性を考えると分散的(離散的)システムであることが望ましい.その一方で高効率の送電を行うた めには,全体が統合されている必要があるため,集中システムとしての考え方も必要となる.このように,対立するシステムの特性の融合を,ここでは特に力学的情報の視点から研究していく.