宇宙技術でCO₂を資源に変える

宇宙技術でCO₂を資源に変える

排気ガスを新たな資源へ

筑波宇宙センターでは、施設内の研究開発活動を支えるさまざまなインフラ設備が稼働しています。その一つが、センター全域へ熱源を供給する動力棟のボイラです。このボイラは都市ガスを燃料として常時運転されており、排気ガスには約8%の二酸化炭素(CO₂)が含まれています。

地球温暖化対策への関心が高まる中、排出されるCO₂を大気中へ放出するだけでなく、有効な資源として活用する取り組みが注目されています。そこで施設部では、動力棟の排気ガスからCO₂を回収し、再利用する実証に取り組みました。これは、宇宙開発で培われた環境制御技術を地上へ応用する試みでもあります。

動力棟ボイラとCO₂回収実証装置

宇宙で培われた環境制御技術

この実証で採用したCO₂回収技術は、国際宇宙ステーション(ISS)の生命維持システムでも活用されています。限られた宇宙空間では、乗組員が呼吸によって排出するCO₂を効率よく除去し、船内環境を維持する必要があるため、同様の技術が用いられています。

今回の実証では、その技術の一つである「モレキュラーシーブ」と呼ばれる多孔質材料を用いた物理吸着方式を採用しています。モレキュラーシーブは気体中のCO₂を効率よく吸着できる一方、水分も吸収しやすい性質を持っています。そのため、装置ではまず吸湿剤によって排気ガス中の水分を除去し、その後にCO₂を吸着する二段階の処理を行っています。

さらに、複数の吸着塔を交互に切り替えて運転することで、CO₂を連続的に回収できる仕組みとなっています。処理ガス流量は約200リットル/分で、理論上は1日あたり約10kgのCO₂を回収可能です。また、回収されたガスは最大90%以上の高い濃度を達成しました。

装置の作動原理

宇宙技術を地上の課題解決へ

植物栽培施設
植物栽培施設の様子

回収したCO₂は、隣接する植物栽培施設で活用されました。植物は成長のためにCO₂を必要とします。リーフレタスやほうれん草、イチゴ苗などの栽培環境に供給することで、植物の光合成を促進し、生育向上に役立てています。

このように宇宙技術を地上で利用することで、二酸化炭素排出量の削減と資源循環の実現を目指しています。