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図1. ジグザグ折り円形膜面の回転加振実験 |
概要
軽量で柔軟な膜面展開構造物では,伸展ブームや遠心力などから受ける張力によって膜面を展開,展張し,基本的には膜面自体のもつ曲げや圧縮に対する剛性や強度には期待しない.しかし,膜面を平面状に展開するのでなく,たわんだり折り曲げた形状に展開すると,膜面自体の剛性や強度が大幅に向上し,さらなる軽量化につながる可能性がある.例えば,2010年5月に打ち上げられた小型ソーラーセイル実証機"IKAROS"では,幅14mの正方形ソーラー電力セイル膜面の遠心力展開に成功したが,軌道上でのセイルの展開状態は,予想に反してやや太陽側に反っていると推定されており,回転数を極端に低下しても形状が大きく崩れなかったことが確認されている.また,薄膜太陽電池シートを湾曲した状態で展開する太陽電池パドルなども提案されている.
本研究では,波板状やジグザク状に折り曲げた矩形膜,放射状に折り癖を付与してジグザグ状に折り曲げた円形膜を考え,真空槽内での加振実験や非線形FEM解析,理論解析を行い,立体化された膜面の剛性と強度について検討を行っている.
実験例
直径600mm,膜厚15μmのポリイミド円形膜面に放射状に山折りと谷折りの折り癖を付け,ジグザク形状になるように中心を支持し,真空槽内で約3〜12Hzで回転させながら軸方向に加振し,共振点を計測する実験を行った.その結果,中心を平面状に固定した場合やジグザグの山の高さが低い場合,折り癖のない円形膜合と比較して,共振点が低回転数域で1.3倍程度に向上することが確認された.非線形FEM解析でも,実験に対応した遠心力と重力を受ける折り山を付与した円形膜の固有値解析を行い,同様な傾向を確認した.
参考文献