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宇宙開発最前線事務系の七転八倒
友部 敬行
2009年入社
都市教養学部卒
研究開発部門研究推進部 角田管理課
REASON入社の理由
大きな目標に向かってみんなで協働する場を求めて
学生時代は人力飛行機研究会に所属し、「鳥人間コンテスト」に毎年出場していました。ひとつの大きな目標に向かって、何かをみんなで奔走しながら作り上げていく雰囲気が好きで、社会に出てからもそれを実現できそうな企業を中心に就職活動を行いました。茨城県出身の縁で当時からJAXAを知っており、大学の友人の大多数が理学・工学系であったことから、研究活動の会話でその名前を聞くことも多く、興味を持ちました。
入社当時は、JAXAの知名度が今ほどはなかった時代です。採用倍率も、今ほどではなかったでしょう。ですので、私自身は「運よくJAXAに拾ってもらった」という印象が強いです。
WORKわたしの仕事
関わるすべてに振り回される日々
入社当初から6年目までは資産管理や給与計算の業務に携わり、7年目に広報担当として宇宙科学研究所に配属されました。相模原キャンパスを拠点に研究開発・運用されるロケットや大気球、人工衛星、探査機のPR、研究成果の発表支援、交流施設の建設、記者会見の準備や運営、プレスリリースの作成、メディアからの取材対応などに5年ほど関わりました。ロケットの打上げをはじめ各種実験の時は、現地でメディア対応にあたるために北海道から種子島まで飛び回っていました。
現在は宮城県にある角田宇宙センターに勤務しています。事業所の管理業務のほか、社内各所から来るヒト・モノ・サービスの調達案件について、仕様調整、入札等の手続きの実施、各種契約書類の作成と稟議、取引企業との交渉など、調達に関わる業務全般を行っています。角田では設備運転用の重油の他、冷却して液化させた酸素、窒素、水素、メタンや、ヘリウムやエチレンなどのガス類を試験や実験で使用する為、おのずと世界の燃料・液ガス情勢に詳しくなりました。
JAXAの事業はその大部分で税金を使わせていただいていますので、国民の立場から見て、果たして適切な調達契約ができているかを念頭に仕事を進めます。競争を経てより低いコストで調達ができないか、競争が成立しない案件であればその根拠は充分か、何をもって合理的な契約だと説明できるか。調達したいものが専門的になればなるほど、こうした検討も難しくなります。一方で、研究開発の現場は早く発注して研究や実験をはじめなければ仕事にならないわけですから、手持ち時間は厳しく限られます。そんな案件に毎日囲まれて頭を掻きむしりながら、全ての過程を楽しむようにしています。
FUTURE将来の想い
東北の地元企業とともに輝ける道筋を考える
最近では、東北地方の企業の調達先を広げられないか、地域の自治体や企業と少しずつ対話を行っています。角田での調達活動を、「研究開発を通して地域と共に発展する」ビジョンとともに広げられないかと考えるからです。宇宙開発で使用するものは特注品が多く少数生産で、企業にとっては利益が上がりにくい面がある一方、一般市場向けに生産された物品を利用する試みも進んでいます。事務機器の購入や備品の更新といった定期的に調達する案件や土木工事もあります。いろんなケースに応じて、事業所が東北地方にあることをメリットとして生かすことはできないか、考える日々が続きます。
紹介させていただいたこうした仕事は、華やかさなんてものは一切ないですが、その先には国内外の様々な人が関わって、繋がって、紡いでいくスケールの大きな事柄に続いています。そして、どれだけそれを想像し、意識できるかによって仕事の面倒くささと楽しさが変わります。面倒と楽しいは表裏一体、積極的に関わっていると、ふとした時に科学の歴史の一ページに立ち会えるたりするのです。
CAREER PATHキャリアパス
入社してからこれまでのキャリア
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1st year
財務部会計課・財務企画課(東京事務所・筑波宇宙センター)
会計伝票の仕訳・確認、JAXA資産の取得・貸付・支給・消費・売却・廃棄等の手続き事務、消耗品調達等の業務。
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3rd year
人事部職員課(調布航空宇宙センター)
毎月の給与計算、給与他各種控除金の振込、手当の査定、退職金計算と支給、税金手続き、入退社の手続きを担当。
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7th year
宇宙科学研究所(相模原キャンパス)
相模原キャンパスを拠点に研究開発・運用される宇宙機や、実験・試験・研究成果の広報活動を行う。
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11th year
研究開発部門 研究推進部 角田管理課(角田宇宙センター)
調達に関わる業務全般を担当。
THE OTHER SIDE OF THE MOON私の一面
角田宇宙センターは広大な敷地ゆえにカモシカやイノシシがやってくることも。特に頭数の多いイノシシは頻繁にセキュリティセンサに引っかかる、敷地内の至る所で土を掘り返す、うっかり出会えば突進される危険もありますから対応に悩まされています。狩猟免許を取得して対策に貢献できないか真剣に検討しています。