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開拓領域が広い宇宙分野を日本企業と共に切り拓く「夢」だけではない「現実」の世界へ
末永 和也
2001年入社
経済学部経営学科卒
国際宇宙探査センター 事業推進室
REASON入社の理由

フロンティアを拓き、日本と人類の利益を追求できるJAXA
経済不況が続く中、厳しい環境で企業が勝ち抜くための経営学に関心を持ち、所属する経営戦略のゼミだけではなく、自主ゼミサークルにも参加し、企業の経営戦略の研究に熱中したり、カーナビゲーションの販売店でアルバイトをしてマーケティングを経験しました。
IT黎明期だった就職活動当時、文系学生もSEとしての就職が多かった中、バーチャルの世界ではなく目に見えるカタチのある分野、さらには、フロンティアを拓いて日本や人類に貢献する大規模プロジェクトに携わりたいという想いを持ち、JAXAを目指すことにしました。事業以外にも、上下関係に縛られず自分の意見を言える風通しのよい組織文化や、若いうちから責任ある仕事を任されるところも魅力でした。JAXAは採用の絶対数が少ないため、「絶対に行くぞ」というよりは、宇宙開発に携わるという夢に向かって挑戦するプロセスを重視し、ダメであったとしても決して自分へのマイナスにはならないと考えました。
WORKわたしの仕事

トヨタと月面に挑む 「有人与圧ローバプロジェクト」
20年のキャリアの中で、官庁、民間企業への出向や海外駐在など、JAXA外や国外の経験が長く(期間にするとキャリアの4割くらい)、対外調整の最前線の仕事や外からJAXAを見る機会に恵まれました。その中で実感したことは、宇宙プロジェクトは国際協力や産業界との連携なくして実現できないということです。特に産業界との連携の分野については、二大目標である「宇宙産業の強化」と「産業のすそ野拡大」は別々の目的ではなく、同時に実現することが課題でした。そんな中ベンチャー企業を育てる米国型の事業創出ではなく、フランス駐在において目の当たりにした、宇宙機関と大企業が官民協調でプロジェクトを立ち上げる欧州型を日本に適用できないか模索するようになりました。そして、「国際競争力を持った非宇宙系の大企業による宇宙開発のコア事業への参入を実現させる」という目標を掲げ、自分自身が企業の中に入って実現する方法を探していました。ちょうどそのころ、トヨタ自動車に、将来のモビリティを企画する「未来プロジェクト室」があることを知り、アプローチを試みた結果、出向へと道が拓けたのです。
とはいえ出向した当初は、トヨタ、JAXAの双方とも実際に宇宙のプロジェクトが立ち上がることは期待していなかったと思います。大きく動き出したのは、宇宙飛行士が宇宙服を着用せずに搭乗して、月面で長距離を走行できる「有人与圧ローバ」を新規プロジェクトとして企画した時です。実はこの企画は社内コンペが進んだところで落選したのですが、それまで協力してくれた色々な分野・職制の人たちから「夢を見させてもらってありがとう」という言葉を数多くもらいました。その時、「企画とはプランナーだけではなく関係する全ての人のものである」ということを痛感し、「悔いが残らないようにやろう、まだ挑戦は終わっていない」と考えたのです。その後、JAXAの経営推進部や技術検討チームのサポートを受けながら、企画の精度を高め、「夢」だけではない「現実」のものとして具体性と説得力を持たせました。その後、「国際宇宙探査計画で人類は再び月に行く、日本車とJAXAの技術があれば実現できる」とトヨタの副社長にも直談判し、遂にJAXAとの共同検討が実現したのです。JAXAにいると忘れがちな宇宙開発がもつ訴求力と影響を実感する機会でもありました。
現在所属している国際宇宙探査センターは、再び人類を月に立たせ、持続的な月面活動を実現し、将来的には火星への有人探査を目指す国際宇宙探査計画を推進するJAXAの総合司令塔の役割を担っています。そこで計画担当として、中長期と年度の資金を含む計画の立案と進捗管理を担当しています。月・火星というフロンティアの領域で、これまで培った対外調整の経験やスキルを活かして、新しい計画の立ち上げに携われることにやりがいを感じています。
FUTURE将来の想い

ミッションを成功させ、新たなプロジェクトも立ち上げたい
これからの目標は二つあります。一つは有人与圧ローバプロジェクトを国の計画として立ち上げ、ミッションを成功させること。そして、二つ目はトヨタのような非宇宙分野の企業で新たに宇宙プロジェクトを立ち上げることです。それは、有人宇宙探査に限らずロケット、衛星、深宇宙探査と有人以外の開発も視野にあります。
宇宙航空分野を専門に扱い、日本や人類への貢献を最優先する公的な組織としてJAXAは唯一無二の組織です。法律から経済、人文科学まであらゆる分野の人材を求めていて、事務系の活躍の場も益々拡がっています。私のように宇宙やビッグプロジェクトに関心のある人は是非夢を実現させてください。失敗を恐れずに挑戦しましょう。
CAREER PATHキャリアパス
入社してからこれまでのキャリア
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1st year
衛星総合システム本部 衛星プログラム推進部に配属される
法務調整、対外的調整、協定を担当。宇宙分野は法律家にとっても前例がない最先端のフロンティアであることを知る。(例えば、地球観測衛星が撮影したデータの著作権の有無や取り扱い等)
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3rd year
文部科学省 宇宙利用推進室へ出向
国際宇宙ステーションの国際調整の政府窓口業務を担当する。
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4th year
契約部に配属される
知財ライセンスや海外契約等に関する業務に携わる。
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7th year
産業連携センターに配属される
日本の宇宙産業の国際競争力強化・非宇宙分野の新規参入促進に向けた企画・予算を担当する。
新規参入の促進策として、JAXAの技術を使った商品に付ける宇宙ブランドロゴ「COSMODE」の立ち上げを企画する。企業は宇宙の技術を使うことで商品の付加価値をアピールできるため、宇宙利用のインセンティブになる。
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10th year
有人宇宙環境利用ミッション本部業推進部に配属される
NASAとの国際取り決め等の法務調整、国際宇宙ステーション(ISS)・日本実験棟「きぼう」の商業利用制度の企画・運営を担当。協定等の法務調整、NASA受託契約等に携わる。
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13th year
調査国際部パリ駐在員事務所所長代理
欧州の宇宙機関との国際調整、宇宙政策・産業の動向調査に携わる。JAXAが開発中の新型ロケットH3と同時期に企画された欧州共同プロジェクト・アリアン6ロケットをベンチマークするため、コンセプトや仕様等の開発動向を調査。欧州各国の分担と得意とする技術分野から性能を読み解き、また先方と地道に築いた信頼関係によって必要な情報を得た。
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16th year
有人宇宙技術部門きぼう利用センターに配属される
予算・計画管理、総括業務に携わる。
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17th year
トヨタ自動車株式会社 未来プロジェクト室へ出向(3年)
プランナーとして2030年代のモビリティの企画業務を担当。出向の3年間のうち、2年間は「クロスアポイントメント制度」により、JAXAの国際宇宙探査センターとトヨタの二つの組織に所属して、50%づつ業務を行う。これは双方の組織にとって初の試み。
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18th year
国際宇宙探査センター 事業推進室に配属される
国際宇宙探査プログラムの計画・予算を担当する。日本が国際探査計画に戦略的に参加し、より高い国際プレゼンスを発揮するために、必要な予算を獲得して探査プログラム開発研究を推進します。

THE OTHER SIDE OF THE MOON私の一面
休日は家族でキャンプに出掛けたり、料理をしてリフレッシュしています。料理はメニュー選び(企画)に始まり、材料の調達から調理の段取り、そして成功と失敗がはっきりしていて、結果は次回のレシピ(設計)に反映するといったところが、宇宙プロジェクトに似ていて奥が深いです。