SPECIAL INTERVIEW女性職員座談会



女性が働く場として、JAXAをどう思いますか?
男性が多い職場というイメージがあるようですが、実際はどうでしょうか?
松田
女性が働きやすい職場だと思います。同期の女性割合も低くはなく、現在の部署も女性が多いため、通常のJAXAのイメージとはかなり違う環境かもしれません。女性の管理職が技術系部署の中でも多く、子育てしながらお仕事されてきているロールモデルがいらっしゃいます。相談しづらいこと、女性ならではのことなど、色々と分かっていただけるので、安心感があります。
山田
セキュリティ・情報化推進部も課長五人のうち女性が二人いらっしゃって、お二人とも子育て経験者です。近くで仕事をしていると、仕事ができることはもちろん、リーダーとしても優れており、尊敬しています。
長山
私の部署は比率的男性の方が多いのですが、仕事の分担には男性だから女性だからという概念はなく、平等だなと感じます。全体的に女性職員は家事育児との両立だけでなく、自分のフィールドワークを深めたり趣味を極めたりされているスーパーウーマン!が多いという印象です。私自身も自分なりにベストは尽くしているつもりですが、正直言ってなぜそこまで頑張れるの?と引け目を感じてしまうこともあります(笑)。
お仕事と家事育児の両立という点で、工夫されていることはありますか?
長山
上の子が1歳3か月の時に復帰しましたが、我が家は「主人が家事育児に協力」ではなく、「常に分担」という考え方で、それぞれができる分野を担当するようにしています。家事に関しては、私は料理が嫌いではないのですが、毎日仕事をしながら料理をすることがストレスになることもありまして職場復帰以降はキッチンワーク全般そして買い物、家電メンテは主人が担当です。掃除や洗濯、庭仕事等は私が担当し、その他はその時にできる方が対応する、という感じです。
松田
役割分担するのはいいですね。我が家も主人が積極的に育児をしてくれています。むしろ私より向いているかも…。男性が育児をしても違和感のないこの時代に生まれてきて良かったと思っています。
一同
笑
長山
育児に関しては、学校行事やPTA関連は私ですが、勉強・宿題チェックや遊び全般は主人です。
実家の母にも遠慮なく頼っています。息子たちが小さい頃、私と主人の仕事の繁忙期が重なってしまった時は家に泊まりに来てもらい、子供たちの世話も家事もお願いしていました。自分だけで無理をせず、頼ることができましたので育児の環境には恵まれていると思います。最近は子供たちも大きくなって、家事の一部をやってくれるようになりました。
山田
私はあえて育休をギリギリまで取得しました。仕事が好きなのに、やりたい仕事を放って帰ると、子どもに当たってしまうのではないかと思ったからです。それに、「お母さん」をちゃんとやってみたかったというのもあります。育休は二人続けて3年ずつ取得したので、専業主婦とお母さん業を計6年経験してから復職しました。6年間で、JAXAでは学べなかったこともとても多かったです。休んでいる間にママ友作りも頑張り、復職してからも何かとお友達に助けていただいています。子どもが低学年で短縮勤務が取れるうちにと思い切って飛び込んだPTAも楽しく活動しており新しい世界が開けました。今年は副代表を務めています。
長山
おー。それはすごい!!
山田
昨今PTAもネガティブな意見が多いですが、楽しそうにやっている方を見て、「楽しんでいいんだ!」と目からウロコで。パソコン作業で仕事のノウハウを活かすと、とても喜んでいただけて、こういう形で貢献できるならいいかなと。図書ボランティアにも取り組んでいて、少しずつ宇宙ネタも仕込んでいます(笑)
長山
私は復帰してしまって交流する時間もなくて、ママ友は少ないですね。山田さんのお話を聞いて、育休から復帰までの心づもりや、その期間に得られたものの大きさを感じました。
松田
お二人の話に圧倒されていました(笑)。私は山田さんとは反対に、10か月で職場に戻りました。仕事をしていないと落ち着かないタイプなので、一刻も早く復帰したいなと思って。仕事に打ち込むことで、子どもと離れる時間があったことも自身の子育てには良かったと感じています。
山田
JAXAの女性はお子さんが小さいうちに復帰する方が多いですね。
松田
じっくり休むことも、すぐに戻ることも、選択させてもらえるのはありがたいですよね。

両立する上でサポートとなっている、JAXAのよい点について教えてください。
山田
産休・育休・育児短時間・育児短縮の制度を取得しました。来年コアなしフレックス制度を取得して、JAXAの育児制度をコンプリートの予定です(笑)。理解のある上司・同僚に恵まれたおかげで、どの勤務体系でも仕事できていました。一方、周囲に早く上がることを配慮してもらって短時間勤務をさせてもらっていることを意識して、効率的な仕事の仕方を工夫しています。
松田
私はすぐに復職したので地域の保育園に入園させることができましたが、JAXA内にも保育園があります。復職したばかりの方は優先的に入れるようです。つくばの定員は18名で、月齢の小さいお子さんが多く、大きくなると転園するお子さんが多いと聞いています。
長山
私は一日保育で利用したことがあります。事前の登録が必要ですが、いつも通っている保育園が休園で夫も母も都合が悪い時に助かりました。
山田
私は登録だけで使ったことはありませんが、共済会でベビーシッター代を半額支援してくれる制度があるのもすばらしいサービスだと思います。回数に制限がなくて便利ですね。
松田
15分単位で休みが取れるのは、子どもの突発的なケアで出社が間に合わない時に助かります。また、“制度を利用しない”という選択ができるのも実は有難い場合があります。例えば、フレックス制を取得すると保育園や児童クラブを利用できる条件が限られてしまう地域があると耳にしたので、勤務形態は普通の定時にしてもらい、無事に保育園も児童クラブも利用できるようになりました。
山田
そういう場合にフレキシブルに対応してもらえるのはありがたいですね。
松田
配偶者が海外赴任する場合は最大3年間休業できる制度があるのですが、私は利用しませんでした。「一緒に行けるのだから休めば」と周りには勧められましたが、私は仕事をしながら子育てする生活を続けたかったので、各種サポートを受けながら、なんとか頑張りました。子どものお迎えのため残業ができない時には、同僚に助けられました。今もですが、皆さん、理解しサポートしてくれるので、本当にありがたいです。
反対に改善されたらよいと思うことはありますか?
山田
男性職員の各種制度利用がまだまだ進んでいないのでは、と思います。育児に協力的な方ももちろんいらっしゃいますが、正直、女性の仕事だと思っている方も少なくないように感じます。男性が育児して当たり前になるように、もっと女性の上司が増えればと思いますし、男性の「奥さんの妊婦検診休暇」などがあったらどうでしょう。子供が生まれる前から男性も一緒に学びましょう!(笑)それから、子の看護休暇は現状小学校3年生までなので、拡大してもらえたらなあと思っています。
長山
一言で「育児と仕事の両立」といっても、本人の仕事へのモチベーション、育児環境(ご主人や実家等からの支援が受けられるか?)によって、求める職場環境も様々だと思います。特に育休明けの数年間は、そういったニーズに対応できるポストを作る等の配慮があればよいのでは、と思います。
また、家庭毎の役割分担によりますが、男性も主体的に育児を行うことで、両立の大変さが理解できれば、将来的には、職場でのチームワーク向上にも繋がると思います。実際には職場でもこういう話をする機会がもっとあれば、と思います。
松田
様々な制度があっても、まだ紙申請が残っているので、電子申請がもっと普及すると良いと思います。制度を使いましょうと言われても、申請が不便なためにそれが妨げになることも。コロナ禍で電子化が進んでいるので、これを機に積極的に進めていただければと思います。

様々なライフイベントを経験して変わったこと、
成長できたと思ったことはありますか?
長山
子育てに関しては常に反省の毎日ですが、周囲の理解と支援があり、上司や同僚にも恵まれてなんとか両立できています。自分が子育てをしてみて想像以上に大変で純粋に世のお母さん達ってすごい!とあらためて気づけました。すごく大変なことを長年やっているのになぜこんなに淡々と存在できるのか・・と自分の母をはじめ職場の先輩ママさん、全てのお母さんに尊敬の念を抱いてしまいました。自分の子育てはまだまだ続きますが、これからライフイベントを経験する若い世代と関わる機会があれば、自分の経験をもとに困っているときに寄り添って、少しでも助けになりたい…と思います。
一同
素敵!!
山田
JAXAは私ごとき休んだくらいでびくともしないってことはよくわかりましたね(笑)だから、私は自分のためにJAXAで働くんだなと強く感じました。というのは、現在夫が単身赴任中なので、私の仕事の都合で、子どもたちと夫が離ればなれに暮らさなくてはならず、寂しい思いをさせてしまっています。その分、私が仕事で輝いていなければ子どもたちに申し訳ない、そして「そんな母ちゃんが好き」と言ってもらえるように、頑張っています。
一同
すごい!!
松田
先輩お二人のお話に聞き入ってしまいました(笑)。仕事は一人で没頭できることもありますが、育児は自分一人だけでは何もできないこと、協働することの大切さを学びました。仕事と育児を両立できているのは、皆さんに支えていただいているからです。今後も一人で抱え込まず、チームで上手く仕事をしていきたいと思います。
一同
その通りですね。
2020年12月取材