ロケットの打上げを陰から支える

主な仕事は種子島宇宙センターの建屋管理です。種子島宇宙センターはJAXA職員や協力会社の方々が300人以上出入りします。表に出る仕事ではありませんが、皆さんがスムーズに、心地よく働けるようセンター内の清掃や機器の管理、電波や回線などのインフラ整備などをしています。離島だからなのか、急に電話が繋がらなくなったり、電波の調子が悪くなったりすることもしばしば。機器や設備が壊れたときは、担当の方を呼んで対応していただかなくてはなりません。日々の仕事のなかで、相談したり、お願いしたりするコミュニケーション能力や突然起きるトラブルに対応するスキルが身についてきたように感じています。

実を言うと、種子島宇宙センターへの赴任は全く想定していませんでした。種子島行きを知ったときは、ペーパードライバーだし、初めての一人暮らしで離島に行くなんてどうしよう！と不安でいっぱいで、頭が真っ白になってしまいました。ところが、いざ種子島に来てみると、職場の皆さんの温かさに支えられて、想像していたよりも仕事を楽しめていると思います。生活にも慣れてきたおかげか、種子島に来た1年前より仕事が楽しく感じます。

特に印象に残っている仕事は、ロケット打上げの実況放送です。現場で作業している方々に情報を伝えるのが本来の目的ですが、YouTube配信でも流れるので大勢の方の耳に入ります。理事や打上げ執行責任者もいる竹崎総合指令棟で、打上げの約10分前から衛星の分離まで、各工程の完了が確認できたらその旨をアナウンスします。自ら手を挙げ任せてもらったのにもかかわらず、決まったときからプレッシャーを感じて緊張していました。衛星の分離が確認できたときに、ようやく緊張がほどけて、指令棟にいた皆さんが喜んでいるのがわかり、私も嬉しくなりました。打上げの実況放送を通じて、業務で触れることのないロケットの仕組みや打上げまでの流れを学べましたし、打上げの現場を間近で見られてロケットに対する理解が深まりました。良い経験をさせていただいたと思っています。