変革期のJAXAを支える法務の仕事
指田 さやか
2009年入構
法学部政治学科卒
総務部 法務・コンプライアンス課
REASON入構の理由
宇宙開発にかかわる仕事は理系だけのものではない
私が通っていた中学・高校には、屋上に天体ドームがあり、天文部の活動が活発でした。夜まで学校に居残って天体観測をして、夏休みは流星群を見にいく合宿が面白そうだったので、友人と一緒に入部しました。天文部で日本の宇宙開発の歴史を調べるなかで、JAXA(当時はNASDA)を知りましたが、文理選択で文系に進んだため、まさか自分が将来宇宙にかかわる仕事に就くとは思っていませんでした。
その後、大学3年生の時に、法学部に、JAXA職員が講師を務める宇宙法の授業があることを友人が教えてくれました。歴史が好きだったので政治学科でヨーロッパの外交の歴史を学んでいましたが、宇宙法にも興味が湧いて受講すると、宇宙開発の場は事務系の職員も活躍できると知り、JAXAへの就職に興味を持つようになりました。
JAXAはロケットや人工衛星を打ち上げ、国際宇宙ステーションの構築にも参画していたことから、就職すれば新しいことに挑戦し続けられそうだという期待がありました。さらに、JAXAにいる限りはどんな仕事をしていても宇宙航空分野との接点を持ち続けられることにも魅力を感じて、JAXAを志望しました。
WORKわたしの仕事
新しい挑戦を法務の側面からサポート
現在は、総務部 法務・コンプライアンス課に所属しています。JAXAの法務業務は多岐にわたります。私が所属している法務・コンプライアンス課だけでなく、研究開発部門や第一宇宙技術部門をはじめとする各部門にも法務担当者が配置され、それぞれの部門の業務にについて法務的な観点から検討し、協定や契約の締結作業を行っています。法務コンプライアンス課は、こうした各部門の取りまとめを行うほか、協定や契約に関する問い合わせ対応を行なっています。また、特定の弁護士との相談が必要な際の調整や訴訟対応の窓口、宇宙法の研究も担っています。
私が担当しているのは、JAXAの規程類の制定・改廃業務とコンプライアンスの推進業務です。JAXAの規程類は、JAXAのあらゆる業務の基礎基盤であり、人工衛星やロケットの打上げ、衛星の運用など、各職員の日々の業務の方法や基準、ルールがすべて規程類や下位の文書によって定められています。新しい業務や部署の立ち上げが必要な場合には、その業務内容や部署の役割、責任範囲などを定め、既存のルールとの整合性や法令違反がないかを確認することが求められます。JAXAが研究開発法人として適正に業務運営を行っていくため、業務の担当部署からの提案に応じて、これらのルールの審査と確認を行うのが私の業務です。規程類の文言調整など細かい作業が多いですが、担当部署の熱意と、同僚たちの小さなことにも手を抜かない誠実さに、いつも学ばせてもらっています。
JAXAが新しい取り組みを始めるときは、規程類が礎となります。たとえば、2024年度に民間企業や大学等の技術開発を支援するための「宇宙戦略基金」に関する業務をJAXAで開始した際も、基金の担当部署や経営企画部、財務部等の関連部署と協力しながら、規程類を準備し、体制を整えました。大変な仕事ではありますが、新しい挑戦に法務の面から寄与できることにやりがいを感じます。
FUTURE将来の想い
変わり続けるJAXAを法務・対外調整を軸に支える
これまではJAXAが担ってきた事業領域に、近年は民間事業者が多く参入し、JAXAに求められる役割も変わりつつあります。さらに、国際協力を前提とした月・火星探査にも積極的に展開をしていこうとしています。このように、変わり続ける宇宙開発において、法務・対外調整を軸にして、新しいJAXA業務を支えていきたいです。
入構以来、主に社内の制度や法務の取りまとめに関する業務経験を積んできました。将来的には宇宙開発の現場により近い立場でプロジェクトを動かしていくような業務にも挑戦してみたいです。
CAREER PATHキャリアパス
入構してからこれまでのキャリア
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1st year
研究開発部門 研究推進部に配属
国内外の機関や大学との協定・共同研究契約等の調整・締結、部門の法務取りまとめを行なった。研究開発部門はJAXA内のあらゆるプロジェクトの技術を根底から支える基礎研究を行う部門。業務を通じてJAXAの大型プロジェクトや研究開発をどのような技術が支えているのかを知ることができた。
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4th year
総務部 総務課 秘書室に配属
役員の秘書業務を担当した。役員のスケジュール管理や出張同行、会議への同席をする中でJAXAの運営やJAXAを取り巻く環境についてより深く理解することができた。産休・育休を約1年取得。
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7th year
財務部 筑波財務課に配属
HQ、有人宇宙技術部門及び海外駐在員事務所の経理、補助金の管理業務等を担当した。契約等の社内の手続きに沿って業務が適切に行われたかを確認し、支払いを行うことで、財務部は、JAXAの適切な業務遂行を確保する「最後の砦」のような役割を担っている。
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11st year
新事業促進部 企画調整課に配属
JAXAの知的財産権を研究機関や民間企業が利用したり、知的財産を活用した商品を販売する際に締結するライセンス契約の調整・締結を担当した。配偶者同行休業及び産休・育休を1年9か月取得。復帰後は新事業促進部の業務活動の全体取りまとめ(年度計画策定や年度評価の対応、役所調整等)、共創活動に関する法務調整、出資業務の立上げ及び事務局、イベント企画立案・出展業務などを行った。
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16th year
総務部 法務・コンプライアンス課に配属(現職)
JAXAの規程類審査やコンプライアンスの推進などを行う。テレワークを多く活用しているが、出社した際はメンバーとのランチや飲み会が楽しみになっている。
THE OTHER SIDE OF THE MOON私の一面
休日は夫と2人の子どもたちと過ごしています。夫が山好きなので、毎年家族で登山に行きます。頂上で食べるカップラーメンは格別です。また、平日の夕食はバタバタして疎かになってしまいがちなので、休日は皆のリクエストに応じて、食事作り(とお酒)を楽しんでいます。たまに家族を置いて、旧友と食事に出かけるのも大切な時間です。