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自分の新たな特性と出会う異分野から繋がる宇宙の仕事
長山 愛
1997年入社
文学部芸術学科卒
宇宙輸送技術部門 事業推進部(調達部 プロジェクト調達室/研究・事業調達室併任)
REASON入社の理由

出会った「宇宙論」 芸術学科から宇宙の仕事に挑むきっかけに
大学で「宇宙論」という選択授業を受けました。宇宙の始まりと言われているゆらぎや量子物理学といった側面から宇宙と音楽や美術の繋がりに関する講義で、文系の学生だった私にも分かりやすく、これまで意識しなかった宇宙と自分の繋がりのようなものを初めて意識しました。その授業の中で当時のNASDA(宇宙開発事業団)の存在を知りました。講義の中の宇宙論とは異なるのですが、人工衛星やロケットの開発といった技術系の組織にも事務系の採用枠があることを知り、そういう環境に身をおいて成長できる機会があるのなら挑戦してみたいと思いました。
WORKわたしの仕事

慎重さと緻密さを心掛けて 契約の精度を高めていく
学生時代は芸術学科で美術史・美学といった分野を専攻しており、広報やその他の総務系の業務で自分のセンスを活かせる仕事がしたいと漠然と思っていました。入社当初は人工衛星開発を行っている本部で衛星プロジェクトの庶務と広報業務に携わりましたが、入社3年目の異動先で契約業務を担当することになりました。そこで、JAXA(当時はNASDA)が税金で事業を行う組織であり、個々の契約の妥当性や合理性を検討することがいかに重要かという視点に実務的に触れ、新鮮でした。また、各種検査等、JAXA内外への説明責任も求められ、大変責任のある業務だと感じました。一定の規程等の範囲内で運用する制約はありながらも、個人の裁量次第で技術者や関係企業と丁寧なコミュニケーションをとり信頼関係を構築することで契約の精度が高められる等、仕事の完成度も自分次第ということにも魅力を感じ、意外と自分の性に合っていることに気づきました。
現在はロケット打上げに関する法務・契約業務を行っています。特にこの数年間は宇宙活動法という人工衛星等の打上げに関する新しい法律が制定・施行されたことで、企業との責任関係等にも変化があり、関連する契約条件や運用面の枠組みの整理を行いました。また、ロケット打上げ前後に発生する不具合や打上げ延期等に対して、関係企業との協議が随時発生します。突発的に発生し毎回異なる事象に対して限られた時間で調整を終了することは常に困難ですが、課題を現場の技術者をはじめ関係者に相談しながら解決することで様々なケーススタディに対する契約法務的な知見を蓄積でき、大変微力な貢献ではありますが、このような側面から基幹ロケットの打ち上げに関与できていることに喜びを感じております。
現職を通して、契約条件等の調整時には実際の協議が必要な場面を想定し様々なリスクを想定したうえでの検討が必要であることを身を持って体験しましたし、数々のケースを経験することで、前例の知見をいかしてさらに慎重に緻密な検討を心掛けるようになりました。
FUTURE将来の想い

自分が積み上げてきたものでこれからもベストを尽くしたい
実は今後のキャリアについて確固たるものがないのが悩みです。しかし、これまで自分が積み上げてきた主に契約関連の知見や経験をベースに組織に貢献できればと思います。また育児休暇から復帰して約10年経ちましたので、役職にこだわらずライフイベントを迎える職員の働き方を応援する立場で自分にできることがあればとも考えています。
JAXAの仕事はミッション達成時に報道される面だけではなく、それに至るまでの調整の過程で発生する個々のトラブルを事務系と技術系職員の垣根なくチームワークによって解決する、関係者の地道な努力の積み重ねで成り立っていると日々の業務で実感しています。仕事を合理的・効率的に進められる能力はもちろんですが組織の中で長く健康で務め続けるには困難な課題に遭遇した時に乗り越えられるタフな体力と精神力、コミュニケーション能力が大変重要だと感じています。自分の好きなことに熱中する、仲間と一つの目標を達成する等の経験は社会人生活に必ず生きてくるものだと思いますので、どうか学生時代にしかできないことを大切に過ごしていただきたいと考えます。
CAREER PATHキャリアパス
入社してからこれまでのキャリア
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1st year
軌道上技術開発システム本部 衛星ミッション推進部に配属される
人工衛星プロジェクトの庶務と広報業務を担当。人工衛星のガイドブック作成にも携わる。ロケット打上げ後に発生したトラブルに、昼夜問わず対応する衛星プロジェクトの苦労を間近で見たことが、強く印象に残っている。
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3rd year
筑波宇宙センター会計課に配属される
契約関連の業務を担当する。
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7th year
内閣府へ行政実務研修員として出向する
科学技術政策を担当する部署で主に総合科学技術会議等の運営に関連する物品管理業務に携わる外部からの出向者が多い組織で、慣れない環境・異なるバックグランドの方々との仕事は貴重な体験となり、培われた人脈は今でも繋がりがある。
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8th year
契約部に配属される。(当配属中に2回の育児休暇を取得)
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19th year
第一宇宙技術部門(現:宇宙輸送技術部門) 事業推進部に配属される

THE OTHER SIDE OF THE MOON私の一面
小学校~高校までフィギュアスケート競技に打ち込みました。見た目の華やかさとは異なる日々の基礎練習の繰り返し、合宿や試合の経験により得られた体力と精神力が、仕事で様々な困難を乗り越えられた力となっていると思います。そしてもともと地味な作業の繰り返しが好きだからか、コロナ禍以降、手縫いのマスク作りにはまり(良いリフレッシュ方法です!) JAXAで100枚以上もらっていただきました(笑)。