JAXA新卒採用サイト

専門性と経験が糧に広がり続ける事務系職員の役割

森 久美子

2003年入構
地域研究研究科 地域研究専攻修了
広報部 報道・メディア課

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REASON入構の理由

JAXAでしかできない仕事がしたい

外交官のように世界を舞台に活躍する仕事に憧れて、大学ではあえて日本の行政学、大学院では日本文化と日本語教育を学びました。海外で日本のことを紹介するときに役立つはずだと思ったからです。

筑波大学大学院に通っていたこともあり、学生時代は筑波宇宙センターで案内係のアルバイトをしていました。特に印象に残っているのは、国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟の実機を開発が行われていた建屋に入ってガラス越しに見たことです。「これがもうすぐ宇宙に行くんですよ」と、見学に来られた方々にご案内したことを覚えています。

「きぼう」を間近に見ながら、宇宙空間は国境がなく、どこにも属さないフィールドであり、宇宙へ人類が進出していくには国際協力が必須であること、そして宇宙開発は究極の国際協力だと感じました。JAXAでしかできない仕事をやりたいと思い、新卒採用の募集に応募しました。特にOB訪問で聞いた、アメリカ・ヒューストンに駐在して日本人宇宙飛行士に関連する広報活動や取材の調整などを行う「ヒューストン広報リエゾン」の仕事は入構前からいつか挑戦してみたいと思っていました。

WORKわたしの仕事

挑戦と改革の20年

念願が叶って、ヒューストン広報リエゾンの担当になったのは入構7年目のことでした。任期中は、野口聡一さんと山崎直子さんがISSに滞在し、初の日本人宇宙飛行士2人の軌道上での同時滞在が実現しました。NASA広報の中に入って情報収集したレポートを日本に送る傍ら、宇宙飛行士が訓練を行っているNASAのジョンソン宇宙センターや、射場があるNASAのケネディ宇宙センターに取材に来られる日本のメディアとの調整や取材機会のセッティングなど多くの業務に追われましたが、日本で多くのメディアに取り上げていただき、やりがいを感じました。

帰国後は、総務部総務課での寄附金制度の立ち上げ業務などを経て、有人宇宙技術部門 宇宙飛行士・運用技術ユニット 宇宙飛行士健康管理グループに異動になりました。ここでの業務は、宇宙飛行士がISSに滞在する際に持っていく「宇宙日本食」の認証と衣類などの日用品の選定です。前任者は技術系の職員でしたが、上司の計らいで事務系職員の私もチャレンジさせていただけることになりました。

宇宙日本食とは、通常の宇宙食とは別にISSに滞在する日本人宇宙飛行士に提供する宇宙食のことです。慣れ親しんだ日本の味を通じてストレスを和らげ、パフォーマンスの維持・向上を図る狙いもあります。食品メーカーが提案、開発する食品のうち基準を満たしたものをJAXAが宇宙日本食として認証しています。メニューを増やしていこうとしているにもかかわらず、2007年に認証制度を始めてから10年が経ってもなぜか増えないまま。そこで、食品メーカーに認証制度についてざっくばらんにお話を伺って回ると、「やりがいが感じられない」という意見が多く出てきたのです。せっかく食品メーカーの皆さんが苦労して開発してくださったにもかかわらず、宇宙飛行士のフィードバックを伝えることができないなど、当時の厳格なルールが開発の足かせとなっていました。「参加してよかった」と思っていただけるように認証制度を設計し直すと、宇宙日本食は27品目から55品目(2024年現在)にまで増えました。食品メーカーの方が「JAXAは変わったね」とおっしゃってくださったときは嬉しく思いました。

現在は広報部報道・メディア課で、プレス発表のアレンジや取材依頼への対応を行なっています。JAXAの事業は多岐にわたりますが、私が担当しているのは、宇宙の成り立ちや起源を探る研究や宇宙探査などを行う宇宙科学研究所、アルテミス計画などに代表される国際宇宙探査、地上と宇宙に成果を還元する宇宙探査イノベーションハブの広報です。報道・メディア課はJAXA内と外をつなぐ役割を担っています。伝えたいこと・聞きたいことを上手くマッチングさせて、効果的に対外発表できるように関係部署と協力して計画を立てていきます。その結果が報道という形で見えるとやりがいを感じます。

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FUTURE将来の想い

発想と思考の「引き出し」を開けて

宇宙開発は様々なプレーヤーが台頭し、人類が活動する領域もISSだけでなく月や火星へと広がろうとしています。そのようななかでJAXAの役割が少しずつ変わってきています。同時に事務系職員の仕事の領域も広がっているように感じます。たとえば、民間企業や大学による宇宙分野の研究開発や実証、商業化を支援する宇宙戦略基金の運用管理では、技術的な目利きが重要な一方で、制度設計やルール作りなど事務系のスキルも求められています。JAXAでは技術系・事務系の枠にかかわらず、個々の能力を活かせる仕事を見つけられます。

これまでJAXA内外で幅広く業務に携わらせていただいたおかげで、経験や人脈を培い、発想や思考の「引き出し」も増えました。場面に応じて適切な「引き出し」を開けながら新たに必要となる制度を自ら提案したり、仕事を通じて人と人あるいは人と技術をつなげたり、今までにない気づきを与えたりできるようになりたいです。

CAREER PATHキャリアパス

入構してからこれまでのキャリア

  • 1st year

    第一宇宙技術部門事業推進部に配属

    地表の様子を観測する「だいち」シリーズや地球温暖化の原因となるガスを観測する「いぶき」など、地球を周回する衛星の広報を担当した。私たちの生活を支える実利用衛星を一般の方々にも身近に感じていただけるように、イラストで衛星を紹介する冊子を制作した。

  • 3rd year

    有人宇宙技術部門事業推進部に配属

    有人宇宙飛行にかかわるNASAとの協定の締結など、国際法務を担当した。民間事業者に参入していただき、「きぼう」を運用・利用するための制度設計を担当した。

  • 7th year

    ヒューストン広報リエゾンでアメリカに派遣

    ヒューストンに駐在して、現地から宇宙飛行士の活動の様子を日本に伝えたり、取材機会の調整をしたりした。ヒューストンで訓練を受ける日本人宇宙飛行士やJAXAヒューストン駐在員事務所のみなさんと家族ぐるみの付き合いに。

  • 9th year

    総務部総務課に配属

    個人からの寄付を受け付ける寄附金制度の立ち上げのほか、JAXA東京事務所の管理業務や全社的な調査取りまとめなど行った。後半は役員の秘書を担当した。

  • 14th year

    有人宇宙技術部門 宇宙飛行士・運用技術ユニット 宇宙飛行士健康管理グループに配属

    宇宙日本食の認証制度の改革などを行なった。従来の宇宙食は食品名と調理法だけが書かれた銀色のパッケージに詰められていたが、ルールを緩和したことで、パッケージに食品のシズル感が伝わる写真などを添付できるようになり、無機質な船内で生活する宇宙飛行士たちが食事を目でも楽しめるようになった。

  • 17th year

    内閣府科学技術・イノベーション推進事務局に派遣

    行政実務研修員として内閣府に派遣され、経済安全保障の面で科学技術がどう役立てるのかを模索し、新制度の立ち上げに貢献した。

  • 19th year

    広報部報道・メディア課に配属(現職)

    理事長定例記者会見とプロジェクトの進捗や成果のプレス発表のアレンジや取材依頼への対応を担当している。理事長定例記者会見はJAXAの事業や考えを記者の皆さんに知っていただく場。定例記者会見で発表した内容がきっかけとなり、次の取材に繋げていただくために尽力している。

THE OTHER SIDE OF THE MOON私の一面

休日はよく買い物や美味しいものを食べに出かけています。月に一度はJAXAの後輩と一緒に始めた茶道のお稽古に通っています。宇宙開発という最先端技術の世界から少し離れて、わびさびの精神に触れると日頃の緊張がほぐれてリフレッシュできます。

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