

34
H3ロケットと共に進んだ8年打上げを自ら手掛ける喜びを胸に
森 茂
2002年入社
工学系研究科 航空宇宙工学修了
宇宙輸送技術部門 鹿児島宇宙センター 射場技術開発ユニット
技術領域主幹
REASON入社の理由

JAXA職員の仕事への輝きにも魅了され 夢が広がる宇宙開発を目標とした高校時代
高校生の頃から無限に夢が広がる分野でチャレンジする宇宙開発に興味があり、航空宇宙工学を勉強したいと思っていました。高2の夏休みに参加した旧航空宇宙技術研究所(NAL)主催の夏休みサイエンスキャンプでは、風洞設備やフライトシミュレーター、そして当時はまだ家庭に普及していなかったコンピューターがずらりと並ぶ光景に圧倒されました。そこでお会いした職員が目をキラキラと輝かせて仕事のやりがいを語る姿に惹かれ、どこで学んだのかを聞き出し、その大学をめざすことを決意しました。大学院では、ロケットの中でもエンジンのパワーの源に興味を抱き、研究室では燃焼学を研究していました。
就職活動を進める段階では、研究の継続やメーカーへの就職と様々な選択肢がある中、「宇宙」を仕事にするなら宇宙開発の方向性を決め、実際にプロジェクトを進めていく仕事に就きたいという思いを強め、旧NASDAに入ることを決めました。
WORKわたしの仕事

広い視点で開発に取り組み、技術者としての幅を広げる
技術系として入社しましたが、最初の4年は人と人とを繋ぐような仕事が多く、技術的な専門分野に特化していないことが自分のウィークポイントだと感じていました。その後、H-IIBロケットの開発においてシステム担当としてプロジェクトの全体を見る仕事を担当しました。構造、飛行解析、地上システムなどの技術的トラブルに直面する中で、それぞれの専門家たちと議論するようになりました。その経験から、基本的な物理学(工学)を理解していれば、専門家の言っていることは理解でき、解決方法を模索する力にもなると感じました。OB訪問で訪れる学生さんに「ロケットについて勉強していないけど、大丈夫ですか。」とよく聞かれますが、私は問題ないと思っています。必要な知識は入社してから学べます。仕事を通して成長しながら、幅広く物事を捉え、自ら考えて理解し対応する力があることが何より重要です。
学生時代はロケットの燃焼を追究したいと思っていた訳ですが、今ではロケットを大きなシステムとして捉え、様々な技術者の力を結集して組み上がることに魅力と醍醐味を感じています。色々なことを経験させてくれるJAXAという組織は、自分の可能性を無限に広げてくれるのです。
現在は新型H3ロケットの打上げ担当として、種子島宇宙センターを取りまとめています。H3の開発は初期の検討段階から携わっており、技術者としての幅を広げることができました。8年かけて自ら開発してきたロケットの打上げを担当するというのは非常に幸せなことです。現場で発生するトラブルも多いですが、ロケットの機体や打上げに使う設備を身近に感じながら仕事ができることにやりがいを感じています。今では運用段階のロケットの打ち上げを民間に任せている中、H3ロケットはJAXAが直接手掛けています。これらを成功させつつ、JAXAの若手にはロケットの打上げの楽しさと苦労の双方を経験してもらいたいと思っています。
FUTURE将来の想い

次なる目標は有人ロケット 世界一美しい射場から体験するTAKE OFF
将来的には、種子島宇宙センターから有人ロケットを打上げたいと思っています。有人ロケット実現のためには、安全対策やオペレーションの仕方と、獲得しなければならない技術や克服すべき課題が多くありますが、ひとつひとつ想像を膨らませて解決策を考えています。種子島は世界一美しい射場と言われています。有人観光ロケットが運航できれば、魅力的な宇宙旅行への玄関口となるでしょう。誰でも宇宙旅行を楽しめる世の中になり、宇宙から地球を眺めながら食事をして、お酒を飲んで、眠りにつく。そんな種子島発の経験が実現できたら素晴らしいですね。
JAXAでは若いうちから責任のある仕事をさせてもらえます。色々な技術分野を経験したうえで、システム担当としての総合力を身に付けることができます。国とタッグを組んで日本の宇宙開発の舵取りをすることができます。
仕事は苦労が多いです。技術的ではない裏仕事のようなものもたくさんあります。それでも、続けるだけの魅力があります。
CAREER PATHキャリアパス
入社してからこれまでのキャリア
-
1st year
宇宙輸送システム本部利用・運用室に配属される
H-IIAロケットの運用、ペイロード(人工衛星等)インタフェース担当としてロケットと人工衛星を繋ぐ仕事に携わる。
-
4th year
宇宙基幹システム本部H-ⅡAプロジェクトチームに配属される
H-IIAロケットの民営化に伴い、民間による打上げに切り替えるための枠組み作りを担当。
-
6th year
宇宙基幹システム本部H-IIBプロジェクトチームに配属される
H-IIBロケットの開発、ロケットのシステム設計を学びつつ、入構当初の経験を活かしてペイロードである「こうのとり」との特殊なインタフェースを取りまとめる。
開発の最後のフェーズで、ロケットの2段機体を安全に海に落下させるミッションを担当。当時は入社8年目、荷が重いと感じたが、ロケットシステム設計、飛行解析、熱評価、地上設備IF調整、対外調整など、関係者の支援を得つつ、1年でミッションを達成することができた。2段機体が海に落下した日の夜に、当時の上司が一緒に泣いて喜んでくれたことが印象に残っている。
-
10th year
三菱重工業(株)名古屋航空宇宙システム製作所へ出向
民間H-IIAロケットの製造、打上げにおける設計担当として、技術評価やトラブルシュートを実施。メーカーでは技術の細部にフォーカスできる一方で、周辺にはどういう制約があるかなどが見えにくいことが分かり、出向の経験は全体を見渡すJAXAの視点での仕事の進め方に役立った。
-
12th year
宇宙輸送ミッション本部宇宙輸送系システム技術研究開発センターに配属される
H3ロケット開発の中心として、プロジェクト立ち上げから開発後半までのトータルマネジメントを担当する。
-
19th year
宇宙輸送技術部門 鹿児島宇宙センター 射場技術開発ユニット 技術領域主幹
H3ロケットの打上げに向けて鹿児島宇宙センターに仕事の拠点を移す。

THE OTHER SIDE OF THE MOON私の一面
リアル脱出ゲームに代表される謎解きイベントによく参加しています。JAXA内で仲間を募り、有志によるJAXA脱出部を立ち上げています。最近では自分で作る側もやりたいと思い、JAXAの特別公開では謎解きの楽しさとロケットの知識の両方を体験してもらうイベントを企画しています。