人類の可能性を拓く技術を日本から生み出すために
松井 臣央
2014年入構
人間・環境学研究科卒
宇宙探査イノベーションハブ
REASON入構の理由
人類の可能性を広げる仕事に憧れて
子どもの頃から星空を眺めたり宇宙の図鑑を読んだりするのが好きで、宇宙に関わる仕事って面白そうだな、と思っていました。小学校の卒業文集には「将来は宇宙開発事業団(JAXAの前身)に入って宇宙飛行士になりたい」と書いたことを覚えています。
その後もずっと宇宙を志していたかというとそうではなく、大学院では人間の文化形成に興味を持ち、文化人類学を専攻しました。一方で、高校時代は理系だったこともあって、研究開発を肌で感じられる職場に魅力を感じていました。また、人類の可能性を大きく広げるようなミッションに貢献したいという思いもありました。就職活動中に大学でJAXAのパンフレットを見つけて、宇宙はもともと好きだったし、JAXAなら自分の希望が叶えられると考え、応募しました。
WORKわたしの仕事
研究者を支え、伴走する
入構当初から産学官連携に興味があり、複数の部署や出向を経て、現在、民間企業や大学と共同で月をはじめとする国際宇宙探査に必要な技術を研究し創出する「宇宙探査イノベーションハブ」、通称「探査ハブ」に所属しています。私は探査ハブの事業方針等を検討・調整する企画・計画調整、探査ハブで必要となる予算を政府に要求する予算要求、共同研究の公募制度運営や、研究契約調整を担当しています。
これまでに探査ハブとの共同研究に参加してくださった企業・大学等は約260機関。このうち9割がもともとは宇宙分野と関わりのなかった非宇宙企業です。オープンイノベーションにより、現在も幅広い分野の企業や大学の皆様と、数多くの共同研究を進めています。
アメリカや中国、インドをはじめとする各国が月面探査に力を注ぎ国際宇宙探査が盛り上がっている中、日本も国際的なプレゼンス向上を目指しており、民間企業においても宇宙の事業化が進んでいます。しかし、宇宙探査は、民間企業のみで取り組むことが難しい技術課題が多いのが現状です。探査ハブでは、JAXAの具体的なミッションに生かされる技術創出を目指すことに加え、企業の宇宙事業化に向けた支援も行っています。研究者たちがスムーズに研究を行えるように制度や予算等の面から環境を整え、成果を創出できるよう伴走するのが私の仕事です。
探査ハブにおける研究のひとつひとつはとても地道ですが、そんな地道な研究から生まれた変形型ロボット(Lunar Excursion Vehicle 2(LEV-2)、愛称「SORA-Q」)が、宇宙科学研究所のプロジェクトである小型月着陸実証機SLIMとともに月面へ着陸し、SLIMの撮影に成功した時は心が躍りました。探査ハブの共同研究から生まれた技術が将来、人類が月面で長期滞在するそのときに活躍することを想像するとわくわくします。
FUTURE将来の想い
宇宙探査・宇宙科学分野での日本の存在感を高めたい
私はこれまで宇宙探査と宇宙科学の分野に関わり、知れば知るほど、これらの分野が好きになりました。両分野で日本が世界を驚かせるようなミッションを成功させて貢献し続けられるよう、これまでに業務を通じて積んできた経験を生かして応援し、支え続けたいです。
また、私自身が子育て中でもあるため、同じJAXA内の子育て世代が子育てと仕事の両方を心の底から楽しんで推進していけるよう、全社的に繋がりを持つための活動も始めたところです。今後もこの活動を進めていきたいです。
文系で就職活動に取り組む皆さんの中には、大学で学んだ分野が会社でどう役立つか、説明が難しいと感じる方もいるかと思います。専門性そのものにも価値はありますが、専門分野を学ぶ中で身についた視点や考え方、研究に取り組む際に意識したことも振り返ってみてください。私自身も、大学での学びを通じて身につけた力が仕事にも生きている、と感じる場面が沢山あります。
国内では宇宙戦略基金も立ち上がって、宇宙はますます重要視されてきており、宇宙に関わる仕事も増えてきていますが、JAXAでなければできないことも多々あります。人生で何を成し遂げたいかを考える中で少しでも宇宙がよぎった方は、ぜひ日本の宇宙開発を支える仲間になっていただき、JAXAでご自身の力を最大限発揮していただけると嬉しいです。
CAREER PATHキャリアパス
入構してからこれまでのキャリア
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1st year
総務部総務課に配属
「何でも屋」として、JAXA全体の各種取りまとめ業務や、社屋管理業務等を担当した。仕事の進め方改革チームに加わり、全社からの改善提案をとりまとめ、職員が固定席を持たず自由に席を選べるフリーアドレスの導入を実現した。こつこつ地道に行う仕事が多かったが、全社の事業を理解し、社内での人脈を広げる良い機会となった。
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3rd year
宇宙科学研究所科学推進部に配属
予算管理担当として、宇宙科学研究所内のプロジェクトや研究等の予算要求・管理を行った。水星磁気圏探査機「みお」の打上げ時にはドイツにてESAのプロジェクトメンバーと一緒に打上げを見守った。打上げが無事成功した時、現場の人たちの長年にわたる努力と情熱が実を結んだことに感動し、やりがいを感じた。
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6th year
内閣府宇宙開発戦略推進事務局に出向
日本の宇宙開発と利用に関わる施策を推進する内閣府宇宙開発戦略推進事務局で、海外の宇宙機関や国内外省庁との調整を担当した。政策面から世界各国と日本の今後の宇宙協力の可能性を検討する業務を通じて、宇宙開発における日本の立ち位置、求められている役割について学んだ。帰任後に産休と育休を取得。
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8th year
宇宙探査イノベーションハブ(現職)
企画、予算要求・管理、公募制度運営、共同研究契約調整といった、幅広い業務を担当している。
THE OTHER SIDE OF THE MOON私の一面
子どもが幼児でありながら温泉好きという渋い趣味を持っており、よく温泉旅行に行って露天風呂で一緒に星の数を数えたり月の話をしたりします。子どもを寝かしつけた後はアニメやMリーグ(麻雀界のトッププロ選手によるチームリーグ戦)を見ます。特に好きなアニメは『僕のヒーローアカデミア』、『鋼の錬金術師』です。麻雀は見る専です。