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深い技術的背景と現場感/勘で幅広く宇宙開発を見渡したい
梶川 隆史
2012年入社
工学系研究科 航空宇宙工学修了
第一宇宙技術部門GOSAT-GWプロジェクトチーム
REASON入社の理由
JAXAで進める 「振れ幅」を持ったキャリア
大学院では宇宙科学研究所(ISAS)にて宇宙機の構造や振動の解析・制御についての研究に取り組んでいました。また、学部生時代は人力飛行機製作サークルに所属し、仲間と共に人力飛行機を作ったり、飛ばしたり、壊したり…。研究とサークル活動、どちらにも情熱を注いだ学生時代でした。
職業として宇宙を対象に選んだのは、シンプルに最も知的好奇心をくすぐられる場所だったからです。また、若いころには比較的「現場」に近い場所で修業を積み、その後は「深い技術的背景」と「現場感/勘」を持ち合わせた上で、日本国全体を見渡しながら、宇宙を活用した国家的戦略等に関われるような場所で活躍したいと考えていて、そのような大きな振れ幅を持ったキャリアを進める可能性がある場所はJAXAだけだと思いました。
WORKわたしの仕事
職人的な感覚を大事に 開発チームと研究の双方で衛星開発を動かす
メーカーなどの関係者とともに推進する衛星開発プロジェクトでは、温室効果ガスを観測する衛星の機械系設計(構造の耐久性等の設計検証)に携わりました。この衛星は他国の衛星とともに打ち上げる予定であったため国際的に約束した期日があり、地上試験の担当としても現場の問題を解決しつつ、約束の期日を守れるように開発を進める必要がありました。様々な方々の協力も得て衛星は2018年に打ち上げられ、現在も観測を続けています。また、並行して、後継機となる衛星開発プロジェクトの立ち上げを実施しました。特に後継機開発では自身の専門に関係する技術課題があり、初期検討から課題解決に取り組みつつ、現在衛星の基本設計を進めています。
この他に、人工衛星の地上試験を行う設備の開発・維持及び試験技術の研究は、入社時からずっと担当しています。衛星はロケット打ち上げ時の振動、音響、衝撃等に耐え、そして宇宙空間の真空や極端な温度変化に耐えられるよう、1年ほどかけて地上試験によりひとつひとつ検証していきます。宇宙機が遭遇するこの厳しい環境を地上で再現するには多大な労力が必要ですが、より効率よく、精度高く、コストを抑えてこれらの地上試験を実施できるよう、地上試験の標準化・効率化に関する研究開発を行っています。またこれらの厳しい環境を緩和するデバイスの開発などにも取り組んでいます。
これまで携わった研究開発の成果は、実際の衛星開発に適用されるだけでなく、その技術は特許取得という形になって、地上の他の分野でも展開されています。また、この際に他の分野の方々との技術交流から、逆にこれまで宇宙で利用していなかった地上の技術を宇宙開発に取り入れることもでき、いいスパイラルを生み出しました。仕事の種を成果として実らせ、それを社会に還元し、新たな仕事の種を生みだすことができたという経験から、自身の仕事の本質は何かということをより強く意識するようになりました。
JAXAでは定型的な業務はほとんどありません。誰にとって何が必要で、何をなすべきなのか、ということを常に考えながら業務を進められる点にやりがいがあります。自由度が大きい分責任も伴うため、仕事としては重いですが、業務の結果から自分の未熟さや至らない点が顕著にわかり、だからこそより成長できるのだと感じるのです。また、「宇宙」という場所で仕事をしていると、通常の生活では考えもしないことを考える機会も多く、常に新鮮な発見があることも魅力の一つです。
FUTURE将来の想い
今まで誰も見つけられなかった発見に出会える宇宙航空の世界
現場での研究開発に充分納得できた後には、組織運営・経営戦略の仕事にも関わりたいです。そして将来は、入社時に目標としていた「日本国全体を見渡しながら、関係省庁・機関と協力して宇宙を活用した国家的な戦略等にも関わるような場所」で活躍できる人材になれたらと思います。
JAXAでは、宇宙航空のフィールドに関係する、様々な分野や内容の仕事に関わることができます。一方で、予想もしていないような仕事をする場面もあるかと思います。そんな時でも、面白さを追求しようと思えばどんな仕事でも楽しみを見出せますし、周囲を巻き込めばより良い成果を生み出せると思います。その成果の先には、今まで誰も見つけられなかった発見があるかもしれません。そんな面白さを追求できる皆様と一緒に仕事ができる日が来ることを楽しみにしています。
CAREER PATHキャリアパス
入社してからこれまでのキャリア
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1st year
環境試験技術センターに配属
人工衛星の地上試験を行う設備の開発・維持、試験技術研究を担当する。
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4th year
温室効果ガス観測技術衛星2号「いぶき2号」(GOSAT-2: Greenhouse gases Observing SATellite)のプロジェクトチームに併任となる
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5th year
地上試験の標準化に関する開発要素をまとめた「設計標準」を制定するワーキンググループ(機械系試験分野)のサブリーダを務める
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6th year
第一宇宙技術部門GOSAT-2プロジェクトチームに配属(環境試験技術の業務を併任)
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7th year
GOSAT-2を打ち上げ、第一宇宙技術部門GOSAT-3プリプロジェクトチームに配属
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8th year
GOSAT-2から「水循環観測」のミッションが付加された温室効果ガス・水循環観測技術衛星(GOSAT-GW: Global Observing SATellite for Greenhouse gases and Water cycle)を開発するGOSAT-GWプロジェクトチームとして衛星開発を本格的に始動する
THE OTHER SIDE OF THE MOON私の一面
「職人気質」凝り性が高じて、(家族が許す限り)休日は好きなことを好きな時に好きなだけします。とことん凝った料理を作り(何時間もかかる煮込みや低温調理)、とことん食べ、とことんまで運動して、とことん筋トレに励みます(そして15キロ減量に成功)。決めたらストイックに。