捨てきれなかった宇宙業界への憧れ

幼い頃から自然科学全般に興味がありました。特に好きだったのは物理です。運動方程式などの基本法則から微積分を使って様々な法則に派生させ、それらを使って自然現象を数式で解き明かすことに面白みを感じました。

大学では数学を専攻しました。その傍らアウトドアサークルの活動にも力を入れていました。主な活動は登山です。標高3000mを超える赤石岳に登り、ペルセウス座流星群を見たのは良い思い出です。80人規模のサークルのリーダーとして、活動中に事故が起きないためのサークル運営や大学・OBとの連携などの役割も担っていました。アウトドアサークルでの経験から組織運営に興味を持ち、大学卒業後は自動車関連メーカーに就職し、中長期の事業戦略の立案や拡販・設備投資など、事業の意思決定に関わる業務に携わってきました。

新卒の就職活動では、日本の誇りである技術力を通じて人々の暮らし、そして人々の心に強く影響が与えられる仕事がしたいという思いから、自動車業界か宇宙業界のどちらかに進みたいと思っていました。一度は自動車業界へ進んだものの、宇宙業界への思いが捨てきれず、転職することに。宇宙業界の中でもJAXAを選んだ理由は、事業の裾野が広く、日本の宇宙産業の中心となって業界をリードしているJAXAであれば、前職で培った事業の旗振り役として全体最適を模索しながら事業を推進する能力を活かせると考えたからです。