

04
ALL JAXA そしてALL JAPANで臨むMISSION: 深宇宙探査
今村 裕志
1998年入社
精密工学科修了
宇宙科学研究所 DESTINY⁺プロジェクト
サブマネージャ
REASON入社の理由

人類の進歩、活動領域拡大のために邁進する
宇宙に魅力を感じたきっかけは、姉に連れられ生まれて初めての映画館で見た「機動戦士ガンダム」でした。毛利宇宙飛行士のスペースシャトルでの活躍を見て、「宇宙の仕事」としてNASDAという組織が存在することを知りました。就職活動時には、利益の追求を第一にするのではなく、人類の進歩や活動領域の拡大のために邁進できるJAXA(当時NASDA)に強い魅力を感じました。
実は大学院で研究していたのは人工「衛星」ではなく、人工「知能」。当時は直接「宇宙」に繋がらないなと思っていたのですが、20年たった今となっては、探査機の軌道解析や地球観測衛星が取得したビッグデータの処理等、人工知能も宇宙開発に広く関わっています。
また、キャリアの途中では航空宇宙工学を学べば良かったかなと感じたこともありましたが、より広い視点で宇宙開発を見渡せば、理系・文系すら問わずあらゆる分野が宇宙開発に深く繋がっているのだということを今では実感しています。
WORKわたしの仕事

終結を見据えて初めて挑戦が始まる
民生部品・コンポーネント実証衛星「つばさ」(MDS-1)やはやぶさ2で、種子島での打上げを経験しました。MDS-1が無事打ち上がり、宇宙機の正常動作が確認できた際には大きな達成感とやりがいを感じたのですが、当時の上司から「今村君は射場では確かによく頑張った。でも、衛星の運用はこれからだからね。」と言われました。「Think about the end before the Beginning.」というダビンチの言葉があり、チーフエンジニア室でもシステムエンジニアリングを象徴する言葉として使われるのですが、まさにそれにつながるアドバイスでした。はやぶさ2では、打上げを終えてその経験を活かそうと思っていた矢先に、部署が異動になってしまいましたが(涙)。
その後、配属となった理事長秘書の仕事を通して、All JAXA、All Japanと視点は広がっていきました。JAXAの存在価値を高めるために、自分たちが生み出す付加価値を意識しつつ、如何に成果を拡げていくか。異分野・異業種との交流もその手段として有効。また、一プロジェクト、一部門の仕事ではなく、JAXA全体や日本という国の代表としての観点で物事を捉えることの重要性も学びました。これらは、目の前のミッション成功のために日々全力を注いでいる研究開発の現場では、なかなか気付きにくい場合もあります。
現在は、深宇宙探査技術実証機(DESTINY⁺)のサブマネージャとして、体制の構築、資金やスケジュールの管理、複数領域に跨る課題の調整、経営層への報告等に携わっています。「ミッション遂行の為に必要なことの全てに段取りをつける」ことが役割です。もちろん、私一人で実施できることは非常に限られていますので、チームメンバーに仕事を依頼することが重要です。ミッションが結実した時、すなわちDESTINY⁺で言えば、ロケットで打ち上がり、探査機が正常に動作し、活動小惑星フェイトンへのフライバイを成功させた時に、どれだけ強烈な達成感を感じられるかが今から楽しみです。
FUTURE将来の想い

人類の新たなフロンティアを求めて この探査を実現するのは君たちだ
DESTINY⁺を無事成功させた上で、もう一つ新たな探査プロジェクトに関われるとよいなと思っています。実は過去に、NASAの公募ミッションにおいて、最終選考まで進んだものの惜しくも実現しなかったプロジェクトがありました。(ISASニュース6月号と9月号参照:https://www.isas.jaxa.jp/outreach/isas_news/2019/)
DESTINY⁺も初期の構想は工学実証が目的でしたが、活動小惑星フェイトンへのフライバイにより地球飛来ダストを観測するという理学ミッションを「+(PLUS)」したことで採用に至りました。異分野が協働することで新たな付加価値を生み出し、より魅力的なミッションとなって実現したこの実績を参考に、そのプロジェクトのリベンジも成功するとよいなと思っています。
宇宙探査は構想から10年、20年、30年とベテランから若い世代へ繋いでやっと完成します。若手が入社早々から第一線での活躍の場を得ることも多々あります。人類の新たなフロンティアである宇宙空間への進出にやりがいを感じるなら理想的な職場です。是非一緒に深宇宙を目指しましょう!
CAREER PATHキャリアパス
入社してからこれまでのキャリア
-
1st year
入社直前に打ち上げられた通信放送技術衛星「かけはし」(COMETS)の運用
ロケット第二段エンジン不具合により所定より低い軌道に投入されたが、衛星搭載エンジンによる軌道上昇を7回繰り返し、可能な限りの通信実験を実施。衛星の知識と諦めない姿勢を学ぶ。
-
2nd year
MDSプロジェクトチームに配属
民生部品・コンポーネント実証衛星「つばさ」(MDS-1)等の開発。MDS-2では初期の概念検討を、MDS-1では物づくり終盤のシステム試験から、打上げ・運用終了までを経験。
-
5th year
衛星総合システム本部に配属
筑波宇宙センター地上局にて衛星追跡業務を経験。
-
6th year
小型実証衛星(SDSシリーズ:Small Demonstration Satellite)の開発・運用も併任
-
8th year
システムエンジニアリング推進室に配属
プロジェクトマネジメントやシステムエンジニアリングの検討・普及業務を経験
-
11th year
月・惑星探査プログラムグループ(JSPEC)に配属
JSPEC推進室にて管理・推進業務の経験
-
14th year
はやぶさ2プロジェクトチームに配属
搭載機器である衝突装置と、探査機システムの開発を担当。開発から打上げ・初期運用まで経験。
-
18th year
総務部に配属 理事長秘書を経験
-
19th year
宇宙科学研究所 科学推進部に配属
-
22nd year
彗星サンプルリターン計画(CAESAR/NASAミッション)/SRCプリプロジェクトチーム チーム長
火星衛星サンプルリターン計画(MMX) SRC (Sample Return Capsule)の検討
-
23rd year
深宇宙探査技術実証機(DESTINY PLUS)プロジェクト サブマネージャ

THE OTHER SIDE OF THE MOON私の一面
運動することが好きです。サッカーやテニスをして体を動かしていると、目の前のことに夢中になれて、いい気分転換になります。家族でキャンプに行くのも好きですが、最近は、長男が家族より友達と遊びたがるのが悩みです…。