夢は有人ロケット開発必要な技術をひとつずつ学び好機を待つ
井田 恭太郎
2007年入構
理工学研究科(システム統合工学専修)卒
研究開発部門 第四研究ユニット
REASON入構の理由
日本の宇宙開発を推進したい
幼い頃からロケットの絵を描くなど、漠然と宇宙に憧れていて、大人になったら宇宙を仕事にしようと考えていました。自分自身もいつかロケットに乗って宇宙に行きたいと思ったこともあります。数ある宇宙関連企業の中でも、JAXAは日本の宇宙開発を事業として推進できることに魅力を感じて応募しました。
WORKわたしの仕事
ロケット打上げ×有人宇宙飛行 必要な要素を一つずつ経験
研究開発部門 第四研究ユニットでH3ロケットの後継機にあたる次期基幹ロケットの開発に向けてシステムの研究を行っています。現在は、次期基幹ロケットに必要となる先端技術の中でも飛行実証が必要となるものを洗い出し、それらを実証する技術実証機の開発に向けて準備をしているところです。
H3ロケットはH-ⅡAロケットの打上げ費用の半額に抑えるのが目標でしたが、次期基幹ロケットはさらにその半額にまで打上げ費用を抑えることを目指しています。その鍵を握るのは、打上げ後にロケットの第一段機体を回収して、再利用する計画です。第一段機体の再利用は、あのSpaceXでさえ、苦労して獲得した技術です。実現にはロケットの各コンポーネントの信頼性を追求していく必要があり、それは将来の有人ロケット開発につながっていくはずだと信じています。
これまでの私のキャリアを振り返ると、ユニークなのはロケットの打上げと有人宇宙飛行関連の両方の経験を積んできたことでしょう。最初に配属された宇宙輸送ミッション本部 宇宙輸送安全・ミッション保証室では、ロケットが安全に飛行するための計画を立てたり、管制業務を担当したりしました。その後、有人宇宙活動にかかわる部署への異動を希望し、訓練を経て、国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟の運用や管制を担うフライトディレクタやインクリメントマネージャとして、宇宙飛行士のISS滞在に携わりました。ISSに補給物資を運ぶ無人の補給船「こうのとり」(HTV)の後継機として開発中の「HTV-X」を、ISSに結合させるためのNASAとのインターフェース調整なども担当しました。有人宇宙飛行に関連する業務は一通り経験できたので、この経験を活かして、将来、有人ロケットの開発をしたいと思い、再びロケットのフィールドに戻ることを希望しました。
FUTURE将来の想い
有人ロケット開発を夢見て
幼い頃から変わらず、自分でつくった有人ロケットを打ち上げるのが夢です。いつかそのロケットに子どもが乗ってくれるといいなと日々夢を思い描きながら、働いています。JAXA職員のなかでもロケット・ISS・宇宙船の全てに携わったことがあるのは稀なケースでしょう。これまでの経験を強みとして、将来の有人ロケットの開発につなげていきたいです。
CAREER PATHキャリアパス
入構してからこれまでのキャリア
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1st year
宇宙輸送ミッション本部 宇宙輸送安全・ミッション保証室に配属
H-IIAとH-IIBロケットの安全な飛行を支える業務を担当した。従来のロケットの上段は、衛星を軌道に投入した後に宇宙空間に残り、スペースデブリになってしまう恐れがあった。そこでH-IIBロケットの上段を制御して安全な海域に落下させるミッションを成功させた。
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5th year
有人宇宙技術部門 有人宇宙技術センターに配属
訓練を経て、ISSの「きぼう」日本実験棟のフライトディレクタに認定された。油井亀美也宇宙飛行士がISSに長期滞在した際は、リードフライトディレクタとしてISSでの実験をはじめとする様々な業務が滞りなく進められるよう地上から支え、宇宙での「女房役」とも呼ばれた。
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10th year
外務省に出向。外交官として国連の会議に出席
海外各国とのコミュニケーションや交渉力を磨くために、海外駐在を希望したところ、宇宙空間の平和的な利用を推進する国連宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)の拠点がある、オーストリア・ウィーンに派遣。日本代表としてCOPUOSに出席した。現地での情報収集や各国の外交官との調整なども行った。
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13th year
有人宇宙技術部門 HTV-Xプロジェクトチームに配属
ウィーン駐在中に身に付けた交渉力を活かして、ISSに補給物資を届ける新型宇宙ステーション補給機(HTV-X)をISSに結合させるよう、NASAとのインターフェース調整を担った。
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16th year
有人宇宙技術部門 有人宇宙技術センターに配属
インクリメントマネージャとして、2023年3月から9月の約半年間にわたって「きぼう」日本実験棟で実施する実験の計画を取りまとめた。その間、古川聡宇宙飛行士のISS長期滞在を迎えた。
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17th year
研究開発部門 第四研究ユニットに配属(現職)
将来の有人ロケット開発に向けた機運が少しずつ高まってきていることを感じて、再びロケットのフィールドに戻ることを決めた。H3ロケットの後継となる次期基幹ロケットの研究に参加している。
THE OTHER SIDE OF THE MOON私の一面
趣味はピアノ演奏とスキーと釣りです。ピアノはコンテストのアマチュア部門で優勝し、スキー検定1級を持っています。好きなことは何でも究めたくなってしまう性格のようです。