岡田 匡史

新型ロケットで日本の宇宙輸送を変える

「ロケット」への関心

15歳の頃、テレビでアポロ宇宙船打上げの記録映像を観たとき、ロケットの機体から白い物体がぱらぱらと落ちていったのをはっきりと覚えています。「これはなんだろう?」という素朴な疑問が湧いたのが、宇宙開発に興味をもったきっかけです(液体酸素タンクの表面に付いた氷でした)。宇宙そのものよりロケットのような巨大なシステムを設計して打上げるというエンジニアリングに関心が強かったということですね。また、未知の領域に行ってみたいという本能的な思いもあり、その両方が現在の仕事に繋がっています。

以来、ロケット開発に携わることを目指して大学では液体ロケットエンジンの研究をしました。一時、プラントエンジニアに惹かれた時期もありましたが、やはりロケットを開発したいという思いは強く、最終的には迷うことなくJAXAを志望しました。

日本の宇宙輸送を変える

入社後3年間は角田宇宙センターでLE-7という液体ロケットエンジンの試験を担当し、その後2年間は種子島宇宙センターで最終段階だったH-IIロケットの開発と試験機の打上げに携わりました。

現在は次期大型ロケットであるH3ロケットの開発を担当しています。運用中のH-IIAロケットは世界最高水準の信頼性で、重要なミッションの打上げを担っていますが、打上げ能力、価格などの面での課題も見えてきています。一方、海外ではベンチャー企業の参入などを含め新型のロケットが次々に活躍し始めています(とても素晴らしいことです)。 このような状況の中で、世界のロケットと競い合いながら、日本が将来にわたって宇宙へ行く能力をしっかりと持ち続けるためには、宇宙輸送の姿を大きく変えることが必要です。私たちは、今のロケットをフルモデルチェンジしたH3ロケットによって、全く新しい日本の宇宙輸送の姿を作り上げたいと考えています。

技術開発プロジェクトは、約束したスケジュールと資金で目標に適ったシステムをバランスよく実現するものですが、大規模なロケット開発では、技術リスクや複雑さと日々格闘することが常です。そして、これを根幹で支えるのは、人と人とのコミュニケーション。私たちは、2020年度に H3ロケットを初飛行させることを目指して、JAXAそして企業の方々と力を合わせて開発を進めています。

失敗から立ち直るときは、大きな力がつくとき

ロケット打上げは30分1本勝負です。何年もかけて失敗と成功を繰り返しながら築いたシステムが実現したときは、とてもやりがいを感じます。その一方で、これまでいくつかの失敗がありました。失敗から立ち直るときはとても大変です。そして、それまでよりずっと力がつく時でもあります。2003年のH-IIAロケットの打ち上げ失敗のあとには、システムズエンジニアリングの強化・改善を目的としたチーフエンジニア・オフィスという部署ができて、JAXAの技術マネジメントの仕組みを再構築することになりました。このとき、JAXA内の他の部署や海外の宇宙機関、企業、大学などと繋がりを深めながら、新しい道を切り拓いたことで、JAXAの力を高められたと思いますし、自分自身もしっかりした考えを持つことができました。

現在の目標は、H3ロケットプロジェクトの成功。これに尽きます。山登りでいうとまだ3合目という感じですが、私たちが2020年度の初号機打上げに向けて残り7合をどう登ってゆくか、みなさんに見守っていただけたらとても嬉しいです。

JAXAを目指す学生への一言メッセージ

JAXAは夢を実現するチャンスがある場所です。学生の間にご自身の専門能力や人間力を磨いた上で、JAXAを、そして世界を動かしていってほしいです。宇宙開発は一世代で終わるものではなく、過去から未来へ繋げていくものです。私もH3プロジェクトを成功させて、皆さんの世代へ気持ちよくバトンタッチしたいと思っています。

プロフィール

大学院にて航空宇宙工学専攻を修了後、1989年に入社。種子島宇宙センター、ロケット開発プロジェクト、宇宙輸送系企画部門などを経て、2015年より現職。うち5年間ロケットを離れ、本社共通技術部門で技術マネジメント改革を推進する傍ら、週末学生として学位(システムエンジニアリング学)を取得。学生時代はハンググライダーを少々。現在の趣味は、ピアノ、筋トレ、料理など。「悠々として急げ」を座右の銘とする。愛知県出身。

1日の業務の流れ

8:30出社・メールチェック・文書決裁
9:15デスク脇で技術課題の解決状況を担当部署から報告
10:00開発担当企業とのテレビ会議
12:15昼食
13:00ステークホルダへのプレゼン資料作成
13:30H3ロケット設計会議
16:00デスク前の小テーブルでプロジェクト方針の打ち合わせ
16:45定時退社(水曜日)

※所属部署・掲載内容は取材当時による

部門紹介 第一宇宙技術部門

ページ先頭へ