村上 尚美

ランデブ・ドッキング技術をとおして 未来の宇宙開発に貢献したい

「アポロ13」を観て宇宙開発を志す

幼いころから宇宙に憧れを抱き、映画「アポロ13」を観てからは、自分で宇宙船を開発し運用する管制官になりたいと思っていました。大学では理学系の地球惑星科学を専攻していましたが、将来は人工衛星を開発する仕事をしたいと考えていました。就職先として民間の宇宙機メーカーも選択肢の1つでしたが、日本の宇宙開発の道筋を決めて実際に運営するなど、JAXAでしかできない仕事があると考え、入社を志望しました。

入社後は、希望して50~100kg級の小型衛星を実際に作る部署に入り、制御を担当しました。理由は、私の教育係だった方が制御担当で制御の仕事が回ってくることが多く、「面白そう」と思ったことです。最初はわからないことばかりで「仕事に就いてからも勉強なんだな」と思いましたが、周りに優秀な先輩がたくさんいたので、乗り越えられたのだと思います。

小型衛星の部署ではSOHLA-1、SDS-4といった小型衛星の制御を担当しました。特にSDS-4プロジェクトでは、立ち上げから運用まで姿勢制御チームのリーダとして従事しました。自分が開発した衛星の打ち上げが成功し、チームみんなで喜びを分かち合うのは、何よりの感動です。私は大学でストリートダンスサークルに所属していましたが、ダンスでは個人技よりもチームワークが大切です。職場でも、我を通しすぎず、チームを優先する柔軟な姿勢が重要なので、学生時代の経験が生きているのでは、と思っています。

「世界の宇宙開発に関わっている」実感をもてた

現在は、宇宙機同士が接近・結合するために必要な「ランデブドッキング技術」の研究開発を行っています。具体的には、月近傍ステーション(月を回る軌道上に宇宙飛行士が滞在する拠点)への物資の補給やデブリ(宇宙ゴミ)を除去する際に、宇宙機が目的物に接近していくときの軌道設計解析や相対的な位置姿勢を知る「航法センサ」の開発をしています。また「こうのとり(HTV)」の運用、新型宇宙ステーション補給機(HTV-X)プロジェクトの開発支援をしています。

2015年からは「月近傍ステーションでのランデブ技術の国際標準化議論」のJAXA側主担当を任されるようになりました。国際宇宙ステーション(ISS)参加5機関の専門家で議論し、ランデブ技術の国際標準を作るという仕事です。英会話は得意ではないので、メールやテレコン(電話会議)にも最初はかなりの時間がかかり、緊張もしましたが、上司や先輩のサポートのおかげで最終的に合意文書をまとめることができました。このときは「自分は世界の宇宙開発に携わっているのだな」という実感をもつことができましたね。

「ランデブドッキング技術ならこの人」といわれたい

私のこれからの目標は、専門分野を強化して「ランデブドッキング技術ならばこの人」と思われる、頼りになる存在になることです。そういう能力を身につけ、国際協働ミッションや深宇宙探査ミッションを進めていければと思っています。

JAXAを目指す学生への一言メッセージ

JAXAは非常に楽しい職場ですし、大きな視点から宇宙航空開発を見ることができます。出産・育休を経て活躍している方も多く、女性が働きやすい環境だと思います。仕事が多岐にわたるため、学生時代にやってきたことが直接仕事につながらない場合もありますが、学んだことが無駄になることはありません。今できることをしっかり頑張ってください。

プロフィール

大学院では地球惑星科学を専攻。2008年JAXA入社。小型衛星開発の姿勢制御系を4年半担当した後、2012年現在の部署に異動し、宇宙機のランデブ・ドッキング技術に関わる研究開発に従事。趣味は旅行と入社後に始めたスキューバダイビング。大阪府出身。

1日の業務の流れ

8:30出社、解析・シミュレーション、設計作業
9:30メール確認
10:30調整用資料の作成
12:15昼食(部署の同僚と食堂へ)
13:00打合せ準備
13:30開発メーカーと開発中のセンサについて技術打合せ
16:00社内チームで対応方針を議論
17:00解析・シミュレーション
19:00退社

※所属部署・掲載内容は取材当時による

部門紹介 研究開発部門

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