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システムレベル設計・検証技術

ソフトウェアエンジニアリング

プロジェクト上流における複合モデルベースデザイン技術の研究

研究概要

 月や火星など惑星探査や宇宙デブリの捕獲といった、これまでに経験したことのないミッションには大きな技術リスクが伴います。そのような技術リスクを低減し、ミッション成功率を高めるため、早期から宇宙機システムの技術課題とその対応策を確認することが不可欠です。
 本研究は、宇宙機システムの概念検討や概念設計等を行うプロジェクト上流をターゲットに、実際の物理現象を模擬した物理モデルを用いたシミュレーション技術を獲得します。また、獲得したシミュレーション環境を含めて、JAXA内外での宇宙機システム検討のスタンダードとなる共通的なフレームワークを構築します。

研究の目標

 従来のコンポーネント・サブシステム毎にインタフェースを切った設計手法では成立性把握が困難な未経験のミッションの達成を確実にすることを目指します。そのために、プロジェクト上流で利用できる以下の共通技術の獲得を目指します。

1)複合物理モデルによるシミュレーション技術
2)宇宙機システム設計・検証フレームワークの構築

 複合物理モデルを用いたシステムレベルのシミュレーションによる設計・検証、及びそのフレームワークを宇宙開発のスタンダードとすべく、人材育成や産業振興への貢献も見据えながら研究を進めます。

システムレベル設計・検証技術研究の意義
システムレベル設計・検証技術研究の意義
宇宙機システム上流設計・検証フレームワークの概念図
宇宙機システム上流設計・検証フレームワークの概念図

1)複合物理モデルによるシミュレーション技術

 従来のコンポーネント・サブシステム毎にインタフェースを切った設計手法では、全体システムとしてロバストな設計となっているか、適切な設計マージンが見込まれているかを明確にすることが困難です。第三研究ユニットでは、物理領域のモデル化や物理モデルを用いた設計・検証技術に関する研究を行ってきました。例えば、宇宙ステーションへの接近軌道の安全性等評価をするために、宇宙ステーション補給機(HTV)等の誘導制御系をMatlab/Simulink でモデル化し、動特性も考慮したシミュレーションができる環境を構築しました。本研究では、これら技術を活用し、宇宙機の設計をシステムレベルで評価する、複合物理モデルによるシミュレーション技術の獲得を目指します。

モデルベース設計・検証の概念
モデルベース設計・検証の概念

2)宇宙機システム設計・検証フレームワークの構築

 第三研究ユニットでは,運用から必要な宇宙機システムの機能を効率的に抽出するために、UML/SysML等のモデルベース開発手法を用いた研究を進め、「モデルベース開発ハンドブック」としてまとめています。本研究では、このような論理モデルと複合物理モデルによるシミュレーション環境を合わせることで、プロジェクト上流において宇宙機システムの設計・検証に共通的に利用でき、再使用可能なフレームワークを構築します。

運用シナリオモデルと必要な機能を抽出する考え方
運用シナリオモデルと必要な機能を抽出する考え方

発表論文等

Noumi,A., et al, "Verification of HTV-X resilient design by simulation environment with model-based technology", 2018 AIAA Modeling and Simulation Technologies Conference, AIAA SciTech Forum, (AIAA 2018-1926)

染谷一徳など “運用設計を主体とするモデルベース開発技術”, 第62回宇宙科学技術連合講演会講演集, JSASS-2018-4774, 2018.

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